名曲名盤縁起 競技者に勇気を与える感動のアンセム スピロ・サマラ〜《オリンピック賛歌》
古代オリンピック第1回開幕 ― 紀元前776年7月8日
気が遠くなるような記念日だが、物の本によれば、紀元前776年のこの日にギリシャのオリンピュアで、第1回オリンピックが開幕したそうである。いわゆる古代オリンピックはそれから4年ごとに開かれ、1200年も続いたらしい。
古代オリンピックの復興、近代五輪の誕生はピエール・ド・クーベルタン男爵の存在無くしては語れない。 元来、スポーツ教育に造詣が深かったピエール・ド・クーベルタン男爵。「世界平和を目的としたスポーツの祭典を催したい」という壮大な夢こそが、古代オリンピア祭の復興であった。明治27(1894)年6月23日、フランス、イギリス、アメリカ、ギリシャなど20カ国79人の代表者が出席して、パリ大学ソルボンヌ校で国際スポーツ会議が開かれ、クーベルタン男爵は五輪復興案を提出、満場一致で可決された。『古代オリンピア祭に倣い、4年起きに開催』、『競技種目は近代スポーツ限定』、『国際オリンピック委員会(IOC)の設立』、『第一回大会は明治29年にギリシャ・アテネで行う』などの事項が、既にその時に決定されている。当時のギリシャは不安定な政情と財政難にあり開催に消極的だったが、クーベルタン男爵は市民の支持を集めると組織委員会を立ち上げ、コンスタンチノス皇太子を会長に推挙。皇帝ゲオルギオス1世の協力も得て、運営資金は国内外の富豪から寄付を取り付けた。こうして、古代オリンピックが現代に復活したのである。
クーベルタン男爵の提唱で、近代オリンピック第1回アテネ大会が開かれたのは1896年である。この時、開閉会式の音楽として、コスティス・パロマ作詞、スピロ・サマラ作曲で書かれたのが、《オリンピック賛歌(アンセム)》、その後埋もれがちだったが、1964年に東京大会が開かれると決まった時、ギリシャで発見された古い楽譜が日本に届けられた。これを《東京オリンピック・マーチ》を作曲する古関裕而がオーケストラようにさいふ・編曲し、1958年に東京で開かれたIOC総会で、NHK交響楽団が演奏・披露したところ、各国の委員を感動させ、以後、公式の賛歌となった。民族の友愛を訴え、競技者を勇気づける素晴らしい音楽だ。
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