クラブ・エディション★第一人者ならでは*組み合わせも時代背景も絶妙 ボールト ロンドン・フィル エルガー・交響曲1番

武者がえし

2020年06月25日 08:00

通販レコードのご案内 大英帝国の残照の中に古色蒼然と燻ぶっていたイングランドのLPOと、がならず急がず晩年の達観したエルガー感を演奏に投影させたボールト、組み合わせも時代背景も絶妙な“レコード”。

《豪オレンジ盤 Quadraphonic》AU EMI WE3856 ボールト エルガー・交響曲1番 作曲者本人から全幅の信頼を寄せられ、エルガー演奏の第一人者として数々の名演を残したエイドリアン・ボールト。多様なエルガー作品が聴かれる時代となった今こそ必聴の演奏。
 サー・エイドリアン・ボールト(Adrian Boult, 1889~1983)は、20世紀の英国の生んだ最もノーブルな指揮者として知られています。オックスフォード大学を経て、ライプツィヒ音楽院に留学、マックス・レーガーに作曲を学ぶかたわら、ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者だったアルトゥール・ニキシュに私淑し、大きな影響を受けています。
 イギリスに帰国後、直接親交のあったエルガー、ホルスト、ヴォーン・ウィリアムズらイギリスの作曲家の作品を取り上げて高く評価され、1930年には新しく創設されたBBC交響楽団の初代首席指揮者に就任、幅広いレパートリーをイギリスに紹介しています。戦後はロンドン・フィル、バーミンガム市響の首席指揮者を歴任しつつ、イギリス音楽界の大御所として1981年、92歳という高齢で引退するまで矍鑠とした指揮活動を続けました。ボールトはJ.S.バッハからハヴァーガール・ブライアンまで、幅広いレパートリーで卓越した演奏を聴かせる指揮者でしたが、最も得意とするのはイギリス音楽と、ニキシュの影響を強く受けたドイツ・オーストリア音楽でした。
 前者では、エルガーの交響曲第2番の復活初演やヴォーン・ウィリアムズの「ロンドン交響曲」改訂版の初演など、作曲者から盤石の信頼を置かれていたボールトならではの業績は数多く残されています。エルガー最良の解釈者として名高いことに誇りと使命感を持っていたのか、この録音時点で齢88歳とは驚愕する、燃え上がるような情熱的な演奏です。エルガーのエニグマ変奏曲では、一部のパートをオルガンで演奏するほど。
 英国の待ち望んだ純正交響曲の第1番が、1908年に作曲されたのはエルガー51歳の気力充実期。交響曲第1番はエルガーの真骨頂、渋い曲調と流れるような美しい旋律が同居する、いかにもイギリス的という表現がぴったりの硬派の世界を展開する両端楽章に挟まった、第2・第3楽章は透明感のあるどこかはかなげな美しさを持っている。「名作曲家イコール名演奏家」ではないが、ことエルガーに至っては彼自身が熱心にレコード録音として後進の指揮者に目的を遺した。
 イギリス人にいわせると軍服ならぬエンビの退役将軍、あるいはパブリック・スクールの老校長を想わせるというが、姿勢の正しさと無駄のないキビキビしたジェスチュアは、まさしく老将軍といった面影をそなえている。ボールトは柔和な表情のうちに威厳を兼ね備えている。一見してイギリス人らしい風貌の持ち主である。
 ボールトはSPレコードが電気吹き込みになる以前の1920年代からイギリスの様々なレーベルに録音しているが、その中の大手である英 EMI がボールトを発見したのは、1966年、ボールト77歳のときだった。80歳の誕生日祝いのコンサートを振った折り、ボールトはふと、こんなことをもらした。「レコード会社は、ほぼ10年ほど前に私がまだ生きていたってことに突然気づいた。こんなに忙しいのは嬉しいことだが、私がもっと元気だった、それより10年前(60歳代)に起こったらねえ」。
 一口にいってボールトは極めて地味な指揮者だったから、人気者で名物男だったサー・トーマス・ビーチャムが、1961年に82歳で没し、公衆のアイドルだったサー・マルコム・サージェントが1967年に72歳で没し、芸術の夕映えに輝いていたサー・ジョン・バルビローリが1970年に70歳で没したのち、サー・エードリアン・ボールトが浮上していたというわけである。
 晩年の10年間、ボールトの録音に協力したクリストファー・ビショップの談によると、80歳代の高齢にもかかわらずボールトの耳は以前としてシャープであり、老眠鏡もかけずに、こまごまとした手書きスコアを読むことができ、健康な食欲に恵まれ録音スタジオのキャンティーン(簡易食堂)で楽員たちと同じ食事をうまそうに平らげていたそうである。
 ロンドン・フィルと晩年の達観したエルガー演奏の第一人者ボールトならではの名盤。組み合わせも時代背景も絶妙な演奏です。
1976年9月、10月ロンドン、アビー・ロード第1スタジオ&キングズウェイ・ホールでのクリストファー・ビショップ(プロデュース)とクリストファー・パーカー(エンジニア)による録音。名演、名盤。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

Elgar / Sir Adrian Boult - London Philharmonic Orchestra ‎– Symphony No. 1
レコード番号
WE3856
作曲家
エドワード・エルガー
オーケストラ
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
エイドリアン・ボールト
録音種別
STEREO
ORANGE WITH BLACK LETTERING, STEREO 1枚組(120g), Release 1977。

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
M-
製盤国
AU(オーストラリア)盤
Club Edition》オーストラリア World Record Club プレス。英国レギュラー盤のオリジナル・スタンパーを使用している。表紙とレーベルは、1980年代にニュー・デザインになった。

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品番 / 34-21068
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