2020年03月24日 07:45
70年代カラヤン盤中心にEMIでドイツものを担当したミヒャエル・グロッツ、ウォルフガング・グルリッヒが制作したオーディオファイル盤。他のスタジオ録音からはなかなか聴くことのできない仕上がりとなっている。カラヤンの録音のなかでもベスト盤と言えます。
カラヤン&ベルリン・フィルの録音は星の数くらい沢山あるが、当時のこの組み合わせ以外には不可能であったと思われるカラヤンとベルリン・フィルの前途洋々とした絶頂期。ベルリン・フィルの実力を最高に引き出しているという点では当盤が最右翼、圧倒的な表現の振幅によって演奏されたワーグナーでしょう。ワーグナーの序曲、前奏曲集ならクナッパーツブッシュかフルトヴェングラーかと身体に染み付き始めていた者としては、この滑らかで流暢な演奏をはじめて聴いた時は面食らった。日本盤は見開き2枚組で発売された。気負いもなくレコード再生したら、煌びやかであり、官能的であり、濃厚で、「すごい!」と肌がほてった。その感覚を今も、初めて聴くレコードに期待している。ワーグナー特有のうねりや美しいサウンドは陶酔的である。しかし、それだけではなく、『タンホイザー』序曲とヴェヌスベルクの音楽はパリ版ということもあるのか、色彩溢れて、合唱が加わるとラヴェルのダフニスとクロエを聴いているようだ。オーケストラはなだらかに、句読点なく、すべてのフレーズがレガートの応酬。せっかくのベルリン・フィルの美音と合奏力が無駄に消費されている贅沢高カロリー。カラヤンのワーグナー管弦楽曲集は当盤と80年代のベルリン・フィルとデジタル録音したドイツ・グラモフォン盤がありますが、演奏の凄まじさと選曲内容から見ても、イチオシはこのディスクです。
本録音はカラヤンの何時もの重厚感がたまらなくいいし、豪華絢爛なベルリン・フィルも健在。この録音時のベルリンフィルは木管楽器にゴールウェイ、コッホ、ライスター、ピースクなど最高の名手達は既に去っていると思いますが、ベルリン・フィル伝統のアンサンブルは健在で他に得られない圧倒的なものです。ここでは弦楽器のゴツゴツしたドイツ的な響き。いくつかあるカラヤンのワーグナーの管弦楽曲集の中でも、この70年代のベルリン・フィルとのコラボレーションは最高峰に位置するといえます。指揮者、オーケストラともに最も脂の乗っている時期で、各パートのテクニックもパーフェクト。カラヤンの良さが十分に発揮されています。煌びやかであり、官能的であり、1970年代絶頂期のカラヤン美学の徹底した名演奏です。
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