ズンズン攻めないテクニシャン★ゲオルグ・ショルティ/ロンドン・フィル ホルスト 惑星
英国音楽としての矜持を重んじ、剛柔のバランスと天体の調和を描き出す。
GB DECCA SET628 ショルティ・ロンドンフィル ホルスト・惑星 爆走する重戦車のような迫力でシカゴ響だったら聴かせてくれたんじゃないかと、何故に手兵を使わないであえてロンドン・フィルで録音したのだろうと当時話題と成った《惑星》のレコードです。
それは意外なことだった。サーの称号をもらっているから、英国音楽界の重鎮だった作曲家への感謝だったのでしょうか。それにショルティの持ち味とも言え、恐らくシカゴ響だったら、と期待して聴いた人ほどに感じちゃうでしょう。
同じ称号を持っている指揮者、サー・エイドリアン・ボールトが奇しくも同じ1978年に5回目のレコードを発売しています。オーケストラもロンドン・フィルですが、こちらがショーピースのようなオーケストラ演奏の醍醐味を味あわせてくれる。
このレコードは日本では横尾忠則デザインで発売されました。ポスターもついていました。
代わり映えのしないクラシックのレコード・カバーの中にあって、横尾忠則に表紙、裏絵とポスターを独自に発注した当時の日本のレコード会社の着眼点が面白い。ライナーノーツは諸井誠によるもので、中央部分にはショルティ自身から日本のリスナーに向けた「惑星」の解説付き。すでにこの時点で10数種のLPがリリースされているので日本人にとって「惑星」が珍しかったわけでもないだろうし。ショルティの楽曲解説からは曲への思い入れを感じる。日本盤の発売元がキングレコードだったことに納得できよう。
演奏はショルティらしく変化球なしの真っ向勝負という感じ。飾っておきたくなるようなレコード・ジャケットだったにもかかわらず『その録音を聞いたわけでなく、恐らくオファーを受けて印象で描かれたんじゃないかな。ショルティの『惑星』には似合ってない着心地の落ち着かないイメージです。』といわれようもある思い込みによる如き、呆れるような勘違いもされやすい、デザインのコンセプトにもなっているのだろう「火星」のテンポはかなり速く感じるが実際の演奏時間が極端に短いわけではない。諸井誠の解説にもあるが、他の指揮者であれば一瞬ためて演出する部分をインテンポで演奏するので結果として非常にスピーディに感じる。
ロンドン・フィルの演奏はシカゴ響に比べて多少軽量級だが、技術的には完璧である。キングズウェイ・ホールで収録された録音もプロデューサーがウィルキンソンでもあり不満は感じない。ショルティ盤の登場を受ける形で本家英国録音で、この曲の初演指揮者であり、最高の解釈と演奏を常に展開してきたエードリアン・ボールトがついに行き着いた最高の『惑星』こそが「極め付き」として登場しますが、1978年にたどり着いた名演は雄大なスケールと豊かな陰影が見事に絡み合う。どちらも正論で両者はただ、レコーディングのアプローチが異なるのでしょう。スコアに忠実かどうかは二の次、結果として出来上がった音楽がどう聴こえるかの方がはるかに大事。本盤でのショルティは、英国の作品に対して紳士な態度で臨んでいる。その点でもこの演奏はおそらく誰が聴いても十分楽しめる ― ものとしての ― 名演名盤だ。
プロダクト
品番
34-22986
レコード番号
SET628
作曲家
グスターヴ・ホルスト
指揮者
ゲオルグ・ショルティ
オーケストラ
ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
録音種別
STEREO
ジャケット状態
M-
レコード状態
M-
製盤国
GB(イギリス)盤
録音年
1978年2月、ロンドン・キングスウェイ・ホール。
プロデューサー
ジェームズ・マリンソン
録音エンジニア
アンドリュー・ピンダー、ケネス・ウィルキンソン
カルテ(管弦楽)
ED4英国初出, 1979 2G/1G初期スタンパー。英国本国では1〜3までは初期スタンパーと呼ばれ音が良いと評判でコレクターアイテムとなっています。4〜6は中期、それ以降は後期と再発重ねて参ります。
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