2022年03月19日 05:30
ブリテンが新たな音色を試みて成功したシェイクスピア原作による幻想的な名作。アルフレッド・デラーはじめ、当代英国を代表した歌手らによる極上の1枚だ。
レコードのステレオ録音は、英国DECCAが先頭を走っていた。1958年より始まったステレオ・レコードのカッティングは、世界初のハーフ・スピードカッティング。 この技術は1968年ノイマンSX-68を導入するまで続けられた。その最新レコード技術と同時代に発表された現代音楽。
英国の音楽というとビートルズ、ブリティッシュロックなど今でこそ音楽が盛んですが、ブリテンの八面六臂の活躍あってのことでした。このシェイクスピアの名作を作曲した作品ではメンデルスゾーンの劇音楽が最も有名だが、英国バロック期のパーセルを始め、複数の作曲家が作品化しています。
ブリテンの《真夏の夜の夢》は1958年9月初演、この作品はブリテン自身の大好きな作品であり、原作を約半分に短縮し編集し直しただけの台本を友人のピーター・ピアーズと作りました。幻想・ロマン・笑い・風刺・夫婦愛といった妖精を介した人間のドラマが、楽しく美しくここに描かれる。現代的なメッセージ性など作為を加えずにシェイクスピア原作の台詞さえ短縮して再編させた台本に基づいた本作は、「夢」の世界における心理構成の探究とその表出を試みたものとして位置づけられている。
ブリテンは「夢」や「眠り」といったものに拘っており、本作の後に『ノクターン』(作品60, テノール、弦楽と7つの楽器のための)やギターのための『ノクターナル』(作品70)などを作曲しているが、これらの作品にもそのテーマが用いられていることから、相当な愛着があったことは明瞭である。
オベロン役にカウンターテナー、音楽の隠し味にチェンバロを使用していて、19世紀に捨て去られた声と楽器を甦らせた功績は本当に大きい。妖精たちにはハープと打楽器(チェンバロ、チェレスタ)で幻想的に、若者たちには似合いの情熱的なメロディ、職人たちには無骨で田舎風と登場人物の3つのキャラクターに合わせて明確に分けており、聴いて分かり易い、ブリテン・オペラ入門にお薦めしたいオペラ。
最初に登場する妖精達の音楽は本当に幻想的で魅了されます。カウンターテナーのアルフレッド・デラーをはじめ、当時のイギリスを代表する歌手による極上の1枚です。ホルストの組曲『惑星』が英国のオーケストラ曲として人気ですが、私は20世紀のイギリス、というよりエルガー以降のイギリスの作曲家を高く評価している。こうした土壌があればこそ、ブリテンのような才能が生まれ出るのだと思う。
ブリテン男爵ことエドワード・ベンジャミン・ブリテン(Edward Benjamin Britten, Baron Britten OM CH, 1913年11月22日〜1976年12月4日)は、イギリスの作曲家・指揮者・ピアニスト。ブリテンは早熟の天才で、13歳の時から音楽理論と作曲を、作曲家フランク・ブリッジ(1879〜1941)に学びました。現代の作曲家の中では最も合唱を愛した作曲家でもあり、終生にわたって児童合唱を愛した。作品数も多く、イギリス各地の児童合唱団との録音数も多い。現代の水準からすれば合唱団の水準は十分とはいえず、技巧的な局面で厳しい面もある。しかし、作曲家自身の指揮ならではの自然なフレーズ感や発語に、作品の本来的な姿をみることができる。録音が鮮明なのもこれまたブリテンの盟友ジョン・カルーショーの御蔭か、聴きやすいメロディーで親しみやすい。
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