大変生々しく美しい音色◉スターン、バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィル バルトーク・ヴァイオリン協奏曲2番

武者がえし

2020年12月05日 18:59

通販レコードのご案内バーンスタインとバルトークとの距離感。

US COLUMBIA MS6002
(演奏者)アイザック・スターン(ヴァイオリン)、レナード・バーンスタイン(指揮)、ニューヨーク・フィルハーモニック
(曲目)バルトーク・ヴァイオリン協奏曲2番

現代音楽への取り組みにも熱心であった巨匠アイザック・スターンによるバルトーク。初期ステレオ録音ながら、スターンの美しい音色が生々しく捉えられています。若きバーンスタインとニューヨーク・フィルの鋭く正確な伴奏も聴きものです。


名ヴァイオリニスト、スターンはバッハから20世紀作品に至る幅広いレパートリー持ち主で、ベルクやバルトーク、ストラヴィンスキー、バーバー、バーンスタイン、デュティユーなどの20世紀の協奏曲も演奏・録音した。室内楽でも、ユージン・イストミン、レナード・ローズと組んでピアノ・トリオの演奏や録音を行った。スターンの美しい音色、安定した演奏はまさに巨匠芸。加えてバーンスタインならではの情念と狂気が尋常ならざる雰囲気を醸し出しています。


先日の鑑賞会で蓄音機の音をはじめて聞いた参加者が、それまで持っていたイメージと裏腹に音が大きい、昭和期初期のオーケストラとピアノの楽器がはっきり聴こえることに驚いていたが、ステレオ初期の本盤もバーンスタインの息遣いまでリアルに感じとれ、当時のアメリカの録音技術の凄さに圧倒されます。


バルトークが亡命したアメリカはシェーンベルグに代表されるような無調の音楽がもてはやされているときで、民族主義的な彼の音楽は時代遅れの音楽と思われていました。そのため、彼が手にした仕事は生きていくのも精一杯というもので、ヨーロッパ時代の彼の名声を知るものには信じがたいほどの冷遇で、その生活は貧窮を極めました。そんなバルトークに作品を依頼するという形で援助の手をさしのべたのがボストン交響楽団の指揮者だったクーセヴィツキーでした。アメリカに亡命してから作曲されたバルトークの作品は、ヨーロッパ時代のものと比べればはっきりと一線を画しています。その様な変化はアメリカへの亡命で一層はっきりしたものとなってはいます。その様な作品の変化は亡命が一つのきっかけとなったことは確かでしょうが、突然に訪れたものではなく、亡命直前に書かれた「弦楽四重奏曲第6番」や「弦楽のためのディヴェルティメント」なども分かりやすさを感じます。しかも、それ以前の作品と比べればロマン的な心情さえも十分に聞き取ることもできます。


今では、バーンスタインはベームに替わって、カラヤンと比肩する20世紀を代表する偉大な指揮者の扱いですが、1960年代の初め頃は「あのウェストサイド・ストーリーを書いたバーンスタインという作曲家は指揮もやっているそうだ」という文脈で語られることが多かったものです。1960年代のベートーヴェンの交響曲全集は〝現代の音楽〟の作曲家としての見立てが伝わってくる。作品の構造をすっきりと描いて見せた演奏だった。マーラー、ショスタコーヴィチの交響曲を〝指揮車バーンスタイン〟は当時の私達にわかりやすい音楽に仕立て直して楽しませてくれた。


ところがバルトークとなると、〝作曲家バーンスタイン〟が出てきます。「共感」がもてない作品になると、一転して「即物的」なスタイルが前面に出てきます。力づくになるような場面などは何処を探しても見つからず、この20世紀を代表するバルトークの良さを誰にでも理解してもらえるように、懇切丁寧に解説しているような演奏です。言い方を変えれば、バーンスタインのイメージから来る思いの丈をぶつけるような粘着質な音楽作りが、真逆のスタンスでバルトーク音楽には向かっています。そして、これも相乗効果と言っていいのか、そのような精緻なキャンパスをバックに、バーンスタインが覚めている分、スターンならでは太めの筆遣いでぐいぐい描き出していくラインは人の心に触れてくる暖かさがあります。結果として今更聞いても、このスターンのようなアプローチはかえって新鮮さを感じさせてくれます。


1958年1月ニューヨーク、30番街スタジオでのセッション録音。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
MS6002
作曲家
バルトーク・ベーラ
演奏者
アイザック・スターン
オーケストラ
ニューヨーク・フィルハーモニック
指揮者
レナード・バーンスタイン
録音種別
STEREO

販売レコードのカバー、レーベル写真

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
M-
製盤国
US(アメリカ合衆国)盤
2 EYES GRAY, STEREO 1枚組 (150g), Stamper 3AC/3K

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • オーダー番号34-24966
  • 販売価格2,500円(税別)
2EYES 360 Sound Black without "Arrows"》米コロムビアは、1960年代の初めに高品質レコードの証としてキャッチコピーとして”360 SOUND”を使用開始する。すでにモノラル時代にジャケットには使用されていたので、”復活”というほうが正しい。1962年から六ツ目から二つ目に変わり、モノラル盤と同様に下部に黒文字で"360 SOUND STEREO"の文字が入る(MS6350~6500辺り)。翌1963年には、"360 SOUND STEREO"の両端に矢印が付いてくる(with "Arrows")。MS6500~6800辺りがこのレーベル。そして1965年中期から1970年までは同じ二つ目ですが、下部のロゴは白文字 "360 SOUND STEREO" に変わる(White with "Arrows Eye" logo at bottom")。MS6800以降、MS7500あたりまで使われ、ワルターやオーマンディ、グールドといった演奏者のお馴染みの録音が多く、品質が安定しているので親しみやすい。
レコードサウンド/カテゴリ指定詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。

入手のメインルートは、英国とフランスのコレクターからですが、その膨大な在庫から厳選した1枚1枚を大切に扱い、専任のスタッフがオペラなどセット物含む登録商品全てを、英国 KEITH MONKS 社製マシンで洗浄し、当時の放送局グレードの機材で入念且つ客観的にグレーディングを行っております。明確な情報の中から「お客様には安心してお買い物して頂ける中古レコードショップ」をモットーに運営しております。

関連記事