2024年04月09日 16:00
齢80近くになって幾度も来日していた老マエストロ、ベーム、同時期活躍していた帝王カラヤンに対抗する存在として、巷間、動と静、華麗と堅実、スポーツカーとクラシックカーといったような比較が言われていたの記憶していますが、ドイツ音楽の神髄を追求し続けて熟成された指揮に溜飲を下げるセットである。第1番第1楽章の序奏部における壮大な力感表出などさすがですが、一方で、第4番では、晩年のベームならではの渋味を含んだ味わいのある情感が深い感動を呼び起こします。ウィーン・フィルの響きも充実した美しいもので、名コンマス、ゲアハルト・ヘッツェルによる第1番第2楽章の甘美なヴァイオリン独奏や、独特の濃厚な音色の木管ソロのなど、ムジークフェラインザールならではのトゥッティの素晴らしい響きと相まってトータルな魅力を実感させてくれます。録音場所は総てウィーンのムジークフェラインのグローサー・ザールで優れた残響まで余すことなく刻まれています。
2019年に生誕125周年を迎えたオーストリアの巨匠指揮者カール・ベーム。日本には1963年ベルリン・ドイツ・オペラと共に初来日、その後はウィーン・フィルやウィーン国立歌劇場と共にたびたび来日し、空前の反響を呼んだというベーム&ウィーン・フィル初来日公演の直後、1975年の5~6月にウィーンのムジークフェラインザールでセッション・レコーディングされたもので、日本でも年内に緊急発売されて1976年度レコード・アカデミー賞を受けるなど各方面から絶賛された名盤です。その出来たるや、ベームらしい揺ぎない構築力を示す堂々たる演奏内容で、オーケストラがウィーン・フィルということもあって、どっしりしたフレームの中で、楽員がニュアンス豊かな音楽を展開する様子は実に魅力的。
録音:第1番1975年5月5,6日、第2番1975年5月6,7日、第3番1975年6月2,4日、第4番1975年5月9日ウィーン・ムジークフェラインザール
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