気ままにクラシックガイド、ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番

武者がえし

2011年12月13日 12:00

メロディーは思い浮かぶが曲名が出てきそうで出てこない。そのような親しみのある名曲は少なくない。《ドヴォルザーク作曲 スラブ舞曲ホ短調 作品72第2》が、その“メロディーは思い浮かぶが曲名が出てきそうで出てこない”代表曲のようなもの。お客さんが店頭で、この曲は何でしょうかと口ずさんでくれる。あぁ、あれだと、その場に居るみんなが顔を明るくさせるが、さて、誰の何って曲だとなった。



『ドヴォルザークが書き損じてゴミ箱に投げ入れた楽譜から、わたしは1曲書き上げられるだろう』と、ブラームスが称賛したボヘミアの“音の”詩人、ドヴォルザーク。


メロディーメーカーのドヴォルザークも、ブラームスに引き立てて貰ったことでウィーンの音楽界に名前が売れたことに感謝をしている。


ブラームスの《ハンガリー舞曲集》と、ドヴォルザークの《スラヴ舞曲集》の関係は深い。ドヴォルザークは以前に出版した《スラブ舞曲集》が好評だったので、ジムロック社から続きの催促を受けていた。しかし遅々としていたが、1886年6月に突然発想を得た。そうして書きまとめたのが第2集、8曲。第1集は1878年の作品46で、あわせて16曲。それを通した番号で呼ばれることもあるので、スラヴ舞曲第10番ホ短調でも正解。正しくは、スラヴ舞曲集(第2集)作品72第2 ホ短調》。


















序奏のあとのメロディーの先を思い出そうとしたら、ピアノの音が浮かんできた。原曲は2台ピアノの作品か、と思って最初に考えたのがブラームスの《ハンガリー舞曲集》の方でした。スメタナに通じる流ちょうさだけどと答えがドヴォルザークだけどと、途中で別のメロディーに惑わされずにたどり着きました。
ブラームスだと類似系のメロディが多いので時として間違う。聞き進めていくと16曲はそれぞれにオリジナリティがある。ドヴォルザークのメロディーメーカーぶりを改めて実感しました。
ところで、曲集の2曲目がしっとりとしたメロディの曲集って多いですね。ショパンの夜想曲も第2番が映画に使われる名旋律だ。


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