アルトの魅力 / 古楽の楽しみ
ヴァイオリンは今では肩と顎の間に挟んで演奏しますが、この時に使う顎当てが考案されたのは20世紀になってからです。バッハの時代のちょっと前に肩に乗せて演奏するようになったのは、演奏しながら動き易くした為でした。
それまでは膝に挟んで演奏していました。写真はヴィオラ・ダ・ガンバを演奏しています。
- アルトの魅力 -
小学校、中学校でアルトと言ったら女子の低い声ですが、音楽の中音域。ハーモニーを支える芯になる声部をアルトといいます。そして楽器演奏にも当てはまり、ヴィオラがそれに当たります。
古楽演奏の大ベテラン、ヴィーラント・クイケンの真髄を聴く、『無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ・リサイタル』。DENONが誇る《CREST#1000》シリーズの1枚。16世紀のバロック初期からバロック末期・古典派初期のアーベルまで、テレマンを除きあまり知られていない作曲家の作品を集めています。ソニーの Vivarte シリーズでアーベルを知ってから目に留まる盤は聞いています。アーベルはバッハの30歳近く年下で、この楽器の黄昏の時代の演奏家、作曲家。
無伴奏でかつヴィオラ・ダ・ガンバという演奏はなかなか珍しく、繊細なようで朴訥につぶやくようで、チェロよりも和声の演奏に適しているガンバの独奏は不思議な魅力があります。
「エア集 第1集から 彼女はすてきなものを持っている」
ヒューム作曲
(4分21秒)
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ヴィーラント・クイケン
<コロムビアミュージックエンタテインメント
COCO-70555>
「エア集 第1集から そっと触れてみて」 ヒューム作曲
(2分28秒)
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ヴィーラント・クイケン
<コロムビアミュージックエンタテインメント
COCO-70555>
ニコラウス・アーノンクール指揮、アルノルト・シェーンベルク合唱団、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス他との共演による、ヘンデルの作品を演奏した2004年録音盤。全体の流れが実に自然な呼吸で運ばれており、21世紀の「メサイア」と呼ぶにふさわしい決定的名盤。
ニコラウス・アーノンクールの合唱作品には欠かすことのできないアルノルト・シェーンベルク合唱団の柔らかい明るい発声がこの曲の響きの美しさを際立てているようでした。そして、魅力あふれるアリアを交えて曲が進み有名なハレルヤの部分は、やや感情を内面に封じ込めた様な演奏で、これがまた圧巻なのです。アンナ・ラーソンに関心を寄せていた頃のリリースなので目にしたら居てもたってもおられずに、先を急ぐようにレジに足を運んだのでした。おやっとは思ったのですが、録音状態は非常に良く、歌唱は英語により行われています。アルトのアリアはCD一枚目の最後のトラックです。
「オラトリオ“メサイア”第2部から 主は世の人に侮られ」
ヘンデル作曲
(10分39秒)
(アルト)アンナ・ラーソン
(合奏)ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(指揮)ニコラウス・アーノンクール
<BMG JAPAN BVCC-37698-99>
ヴィヴァルディの声楽曲は一般認識が薄いようですが映画『シャイン』でトランポリンに興じている主人公が聞いていた音楽です。オペラ、宗教曲と数も多く、ヴィヴァルディの書きなぐりのような速筆ぶりから聴きものをセレクトコンチェルトとモテットが数曲、メインはスターバトマーテル。疾走するようなスピード感。しつこいのになぜかいつもぐっと来てしまうこぶしのきいた旋律。ショルのソロも美声でよい。ここでのヴィヴァルディとバンキーニの相性は抜群。
「悲しみの聖母 RV621」 ヴィヴァルディ作曲
(18分44秒)
(カウンターテナー)アンドレアス・ショル
(合奏)アンサンブル415
(バイオリン、指揮)キアラ・バンキーニ
<HARMONIA MUNDI(仏) HMC 901571>
名人集団フライブルク・バロック・コンソートによるテレマンの名曲集。再評価の気運が高まっているテレマン。「パリ四重奏曲」とも呼ばれるこの曲集は、当時ハンブルクで絶大な人気を誇っていたテレマンをパリの人々が呼び寄せた際の作品です。テレマンならではの美しいメロディとしっかりした構成が特徴。ドイツの若い古楽アンサンブル「フライブルク・バロック・コンソート」のフレッシュな演奏で楽しめる。テレマンはターフェル・ムジークが最高作品ですが4時間を超えるので骨が折れます。聴き通せば充足感も有りますが何かもう一皿欲しいと感じた時、出会いました。またテレマンの楽しさもこれで享受しました。
「四重奏曲集から ソナタ 第1番 イ長調」 テレマン作曲
(11分25秒)
(合奏)フライブルク・バロック・コンソート
<HARMONIA MUNDI(仏) HMC 901787>
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