《ラジヲを聴くことのススメ》古楽の楽しみ 協奏曲の魅力(3)
今週の古楽の楽しみは『協奏曲の魅力』。昨日はヴィヴァルディが近代的な協奏曲のスタイルを作り上げたという話でした。繰り返し同じようなタイプの作品を書いて協奏曲を広めました。第3日目は、バッハがそれを発展させる話です。
前2日間に対して、驚きのない時間になるかもしれません。でも、それは言い方を変えれば落ち着いた一時間を過ごせるでしょう。
テレマンやヴィヴァルディはヴァイオリンをメインに様々な楽器に協奏曲を作りました。それは彩り豊かな内容に成りました。バッハは他の作曲家の作品を鍵盤楽器のための協奏曲にすることで数学的と言って良い、知的な楽しみ方が出来る協奏曲に発展させます。
その元になった曲を番組が終わったあとで、探して聴き比べるのも楽しいことでしょう。
《ブランデンブルク協奏曲》第4番は、ヴァイオリンと二本のリコーダーによる独奏が聴ける楽曲ですが、ヴァイオリン独奏が目立った感があります。バッハはこの作品を『チェンバロ協奏曲 第6番 ヘ長調』BWV1057として編曲しています。
第1楽章(「アレグロ」)は小鳥のさえずりを思わせるような愛らしい2本のリコーダーの絡み合い、リコーダー、ヴァイオリン、弦楽、通奏低音とのコール&レスポンスによる緊密なアンサンブルが進行するなか、軽快ながらも華麗なヴァイオリンの独奏の妙技が楽しめます。
第2楽章(「アンダンテ」、ホ短調)は総奏と独奏がたいへん明確に対比しながら進行する叙情的な楽曲で、独奏においてはリコーダーが主導権を握っています。なお、第2楽章が演奏の指定などきちんと書き込まれているのは、《ブランデンブルク協奏曲》全6曲中この協奏曲のみ。他はアドリブで自由に演奏するようにとなっています。
フーガを形成する第3楽章(「プレスト」)は、2本のリコーダーとヴァイオリンが織りなす独奏バトルと、ヴァイオリンが一部単独で冴えた妙技を披露する独奏を十二分に堪能できます。2006年録音。
「ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV1049」 バッハ作曲 (14分44秒)
(バイオリン)レミー・ボーデ
(リコーダー)ピーテル・ヤン・ベルデル
(リコーダー)サスキア・コーレン
(合奏)ムジカ・アンフィオン <BRILLIANT CLASSICS 93125>
テレマンの作品からの編曲。といっても主題の引用なので、どれが原曲か指すものではない。新しいスタイルを追い求めたヨハン・セバスティアン・バッハは集められる楽譜から貪欲に他の作曲家の流儀を吸収した。その多くが鍵盤楽器のための協奏曲として作りなおされている。
「協奏曲 ニ短調 BWV596」 バッハ作曲 (11分36秒)
(オルガン)ピーテル・ファン・ダイク <HANSSLER CD 92.095>
ディアパソン・ドールなど数々の評判を得ているピエール・アンタイトル・コンセール・フランセの録音。バッハの最高傑作とされる《ゴールドベルク変奏曲》と様々なスタイルの鍵盤楽器のための協奏曲の組み合わせのアルバム。
「三重協奏曲 イ短調 BWV1044」 バッハ作曲 (21分13秒)
(合奏)ル・コンセール・フランセ <NAIVE NC 40002>
関連記事