いい箱つくろう鎌倉幕府〜協奏曲の魅力(4)

武者がえし

2015年02月05日 05:00

鎌倉幕府の開闢は1192年と答えて、◯をもらうか、△をもらって注釈されるか。教科書が改められるのはやがてでしょうから、これから日本史を学ぶ子どもたちは1185年の開闢だと覚えていくことになる。
音楽の授業では、古楽器演奏やバロック音楽時代の研究が活発で音楽学校ではもはやシビヤなところだろう。


バロック音楽に親しみすぎると学校の試験でバツを貰ってしまう。

少なくとも教科書に書いてある説明とのズレを疑問に感じるでしょう。小学校や中学校の音楽の教科書に書かれている音楽用語は、そもそもモーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンになって整ってきた作曲形式に基づいているからです。

歴史の古いオペラは「作品」という程度の意味合いで、音楽全般を指すものとして出てきます。その頃は主体は歌に有り、楽器はそれを補うものでした、その楽器が工夫され充分なものとなると『ソナタ』が登場します。これは器楽だけで演奏される音楽ということでピアノ・ソナタとか、ソナタ形式とか言うのを包括しています。

複数の音をハモっちゃおうと面白いというので『コンチェルト』の魅力が人々を楽しませるようになります。

17世紀前半のイタリアで活躍したリュート、テオルボの名手カプスベルガーとピッチニーニによるリュート作品集。現代の名手ユングヘーネルが見事に再現しています。

「ガリアルダ 第2番/ガリアルダ 第7番」 カプスベルガー作曲 (2分16秒)

(リュート)コンラート・ユングヘーネル <ACCENT ACC 10016>



名人集団フライブルク・バロック・コンソートによるテレマンの名曲集


「パリ四重奏曲」とも呼ばれるこの曲集は、当時ハンブルクで絶大な人気を誇っていたテレマンをパリの人々が呼び寄せた際の作品です。
テレマンならではの美しいメロディとしっかりした構成が特徴。ドイツの若い団体フライブルク・バロック・コンソートがフレッシュな演奏を繰り広げています。

「“パリ四重奏曲集”から 協奏曲 第2番 ニ長調」 テレマン作曲 (10分33秒)

(合奏)フライブルク・バロック・コンソート <HARMONIA MUNDI(仏)HMC 901787>



豊かな即興と暖かい響き。作品の多彩な魅力を見事に再現。


オルガン協奏曲集は、合奏協奏曲集と並ぶヘンデルの代表的協奏曲集です。当時イギリスで一般的であったポジティヴ・オルガンは、弦楽器との合奏に適しており、名オルガニスト=ヘンデルは、自らオルガンを弾きながらこれらの曲を披露したのでした。ヘンデルはこれを、オペラ上演の幕間に演奏しています。半ば即興的に、オルガン独奏をもちろんヘンデル自身が担当しましたので舞台裏の準備に合わせて場をもたせたのだろうと容易に推測できます。
現代におけるバロック音楽演奏の第一人者コープマンの演奏は、豊かな即興と喜びに満ち、この曲集の多彩な魅力を見事に再現しています。

「オルガン協奏曲 ニ短調 作品7 第4」 ヘンデル作曲 (16分15秒)

(オルガン、指揮)トン・コープマン、(合奏)アムステルダム・バロック管弦楽団 <ERATO WPCS 10817/8>



協奏曲を後輩に橋渡し


2014年はカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ・イヤーでした。彼は音楽一族として知られるヨハン・セバスティアン・バッハの息子として生まれ、フルート好きのフリードリヒ大王にチェンバロ奏者として仕えたバッハ・ファミリーの中で父ヨハン・セバスティアン・バッハの名前を後世に残す働きをしました。
さらに作曲家としてはバロック音楽と古典派音楽の橋渡し役となり、作風にはバロック音楽の装飾性を廃して明晰な形式を目指した「ギャラント様式」や、より強い感情表出を目指した「シュトゥルム・ウント・ドラング」が反映していました。
また体系的で理論的な教則本『正しいクラヴィーア奏法への試論 』を著すなど、音楽理論家としても有名でした。彼の作風や理論は、後輩のハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどに大きな影響を与えています。

「チェロ協奏曲 イ長調 Wq.172」 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ作曲 (19分17秒)

(チェロ)アネル・ビルスマ、(合奏)エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団、(指揮)グスタフ・レオンハルト <WANER CLASSICS 2564 63492-7>


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