フランス宮廷の月と太陽 ガストン・ドルレアンに仕えた音楽家(4)〜古楽の楽しみ
ランベールは子供の頃、ルイ13世の弟オルレアン公ガストンの目に留まり聖歌隊で音楽教育を受け成長、やがて作曲家としての名声を確立した。その娘はリュリの妻となったことでリュリが音楽監督を務める王の宮廷音楽隊の音楽長となり死ぬまでこの職を務めた。多くのエール・ド・クールが出版されたが現存が確認されているものは多くない。
リュート歌曲とエール・ド・クールについて
リュート歌曲というのは、一般的に歌手+リュートと言う形態を考えるけど、イギリスにおいてはコンソート・ソング(歌手+ヴィオールコンソート)とマドリガル形態(全声部を歌う)と、レパートリーの上で互換性がある。それはイギリスのいわゆるリュート歌曲の作曲家はリュート奏者が多いので、そういう形態で録音されていることが多いということからの推測
ショーケースとしてはイギリスのリュート奏者で作曲家だったダウランドの「歌曲集第一巻」の楽譜がテーブルを4人が囲んで見られるように印刷されているのが推理の素だったりする。当時のイギリスではヴィオール・セットが家庭の必需品だったからだろう。
その意味では、一般的に「リュート歌曲」として考えられる形態を念頭に作曲されたのって、実はフランスのエール・ド・クールのほうに重みがあるとみれる。
- ランベール作曲
- 「あなたの軽蔑が」(5分20秒)
- (テノールと指揮)ステファン・ファン・ダイク
- (合奏)ムジカ・ファヴォーラ
- <ACCENT ACC 24234>
- ランベール作曲
- 「“聖木曜日の第1ルソン”から 抜粋」(10分13秒)
- (カウンターテナー)チャールズ・ブレット
- (クラヴサンとオルガン)イヴェト・ピヴトー ほか
- <VIRGIN CLASSICS 3 85789 2>
- ランベール作曲
- 「何をしているのか、シルヴィ」(3分49秒)
- 「愛する人の影」(5分17秒)
- (ソプラノ)モニク・ザネッティ
- (合奏)フォンス・ムジケ
- 「甘美な幸福よ」(5分50秒)
- (ソプラノ)モニク・ザネッティ
- (カウンターテナー)パスカル・ベルタン
- (合奏)フォンス・ムジケ
- <ET’CETERA MKTC 1195>
カタログ番号は KTC 1195 へ移行している。
フォンス・ムジケのリュートと指揮は今村泰典。
- リュリ作曲
- 「“快楽のバレエ”から 抜粋」(13分18秒)
- (合奏)アラディア・アンサンブル
- (指揮)ケヴィン・マロン
- <NAXOS 8.554003>
若干21歳で宮廷作曲家に登用されてルイ14世の寵愛を受けたことで有名なリュリ、太陽王を魅了したバレエ音楽が貴方のリスニングルームに蘇ります。例えば16のカズーも聞こえるご機嫌なナンバーは、さぞかし王を喜ばせたことでしょう。
こう言うと絢爛豪華なばかりのようですが、実は歌付きのナンバーが何とも詩的で、これまた聞き手をノックアウト。
ここでの2人のソプラノ歌手の歌唱がまた見事です。誰もが一目で気に入る音楽、ハイ・デフィニション・サウンドの心地よさもあいまって、豊穣なフランス・バロックの世界が貴方を虜にします。
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