ボヘミアン・ラプソディ●ケルテス指揮イスラエル・フィル スメタナ:売られた花嫁、モルダウ、ドヴォルザーク:スラブ舞曲

武者がえし

2016年05月23日 16:15

永久保存版のケルテスの名盤〜異色のモルダウ

収録曲:スメタナ・歌劇『売られた花嫁』から(序曲、ポルカ、フリアント)/スメタナ・交響詩『モルダウ』/ドヴォルザーク・スラヴ舞曲(第1番、3番、8番、10番、9番)
SXL 6024 の番号で 1962 年に発売されて高い評判を得たレコード。曲目からコンピレーションと思って見過ごされることもないオリジナル通りの内容です。

当盤の発売は 1971 年でタイトルがクィーンの名曲と同じですが《ボヘミアン・ラプソディー》収録のロック史上の名盤『オペラ座の夜』の発売は1975年。
クィーンの《ボヘミアン・ラプソディ》には「ボヘミアン」という言葉は登場しないのが謎だということですが、1973年のウィーン・フィルとの録音セッションの休日に海水浴中に行方不明に成った指揮者、イシュトヴァーン・ケルテスの「ボヘミアン・ラプソディ」を聞いていると“名曲アルバム”風でありながら計算され一枚のアルバムとして再構成された力強さを感じます。

普通は序曲しかあまり取り上げられない「売られた花嫁」ですがここでは3曲が組曲風に演奏されています。
さすが、デッカの黄金チームの録音です。プリデュースがジョン・カールショウ、それにゴードン・パリーとスタンリー・グッドールがエンジニア。
この頃のイスラエルフィルは弦が美しくそのシルキーなサウンドが熱く響くのですからまさにケルテス・マジックといっても良いサウンドです。歯切れのいいリズムで良くオーケストラを歌わせ、鳴らしています。とくに第2曲『ポルカ』のティンパニの響きは象徴的で、こういうサウンドもありなのかとびっくりさせられます。これならダンスホールで聞こえてきたら踊れます。

《モルダウ》は交響組曲『わが祖国』の第2曲で、この曲の演奏は組曲全体から切り出した様に前からのつながり、そして後ろに続く印象の演奏も一方に有りますが、単一の音楽だと言われて満足してしまいたくなるカラヤンの《モルダウ》と並ぶ、ちょっと異色の「モルダウ」となっています。リズム感のある演奏で中間部のさざ波のような流れを描写した部分はイスラエル・フィルの弦の美しさが際立っていて聞き惚れてしまいます。

ヴィンテージ盤が初めてという人にも試しやすい価格帯で

それでいてスタンパーは SXL オリジナルと同じアイテムも有る SPA シリーズは、これからアナログLPレコードを聴こうかと思うのにマストな狙い目です。

DECCA 社の廉価版シリーズは、1960年前後に第1の廉価盤シリーズ「 Ace of Clubs/Ace of Diamond 」を発売します。その後、1970年代に入ると第2の廉価盤シリーズ「 Eclipse 」を発売します。そして、第3の廉価盤シリーズとして「 The World of Great Classics 」として「 SPA シリーズ」を発売します。

本盤は、その第3の「 SPA シリーズ」で発売されたレコード。
このシリーズのラインナップはクラシック入門編といった趣で演奏者の全然違う録音を組み合わせた編集盤も多く、コレクション的には無価値ですが、例えばアンセルメの「悲愴」のリアルステレオは英国盤ではこのレーベルだけですし、同じくアンセルメのブラームスやシベリウスなどの珍しい録音もオリジナルに近い金属原盤を用いており、SXL シリーズよりは比較して音質的にも僅かスッキリした感はありますが、一般的に印象としてある DECCA 社らしい高音質 ( HiFi ) となっています。SXLシリーズの初期盤を聴いていない人は、これが DECCA だ、と感じるだろうし聞き慣れた人も独特の味わいで耳あたりが良くて、これはこれで好きだという人も居る。

時期的に真空管アンプからトランジスタにカッティングは切り替わっていた頃で、盤の材質も純度と安定性が上がっているのでアナログの再生では扱いやすいレコードです。
同じソースでも、SXL オリジナルの 1/5 ~ 1/10 程度の費用で入手できるので、コストパフォーマンスの高い盤としてオススメできます。
また、今回のコレクションは、盤質が良好な盤が多いことも付け加えておきます。




品番
34-18413

販売価格3,500 円

商品名GB DEC SPA202 イシュトヴァン・ケルテス BOHEMIAN RHAPSODY
レコード番号
SPA202
演奏者-

作曲家
ベドルジハ・スメタナ アントニン・ドヴォルザーク
指揮者イシュトヴァン・ケルテスオーケストライスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

録音種別
STEREO


ジャケット状態
EX


レコード状態
EX


製盤国
GB(イギリス)盤


カルテ(管弦楽曲)
BLUE WITH SILVER LETTERING、STEREO (150g)、Release 1971、Stamper 2G/2G



(1) recorddate:1962年 3/25-4/30
(2) recordsession:テル・アヴィヴ、ハダー・シネマ
(3) p&e:ジョン・カールショウ、ゴードン・パリー&スタンリー・グッドール
(4) addition:優秀録音、名盤


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