きらクラDON 第129回の回答は、禿山の一夜だ。
交響詩『禿山の一夜』
Modest Mussorgsky/Night on Bald Mountain
交響詩『禿山の一夜』は、組曲『展覧会の絵』で知られるムソルグスキーの管弦楽曲。
没後(1881年)、リムスキー=コルサコフは彼の才能を何とかして世に知らしめたいと考えていた。
コルサコフは、当時未発表だったムソルグスキーの作品から『禿山の一夜』を採り上げ、補筆・編曲を加えて1886年に発表した。今日ではこのコルサコフ改訂版が広く知られている。
曲冒頭の弦楽器が、どこからか生暖かい気配がやってくるように奏する。TVの不気味なシーンの効果音として頻繁に使われるなど日頃耳にする機会は多い。悪魔の集会に出くわしてしまった旅人の恐怖や滑稽さをうまく表現したストーリーはよく知られています。
交響詩『禿山の一夜』を子供も楽しめる人気曲にしたイギリスの指揮者ストコフスキー(Leopold Stokowski/1882-1977)の編曲版は、ディズニーのアニメーション映画『ファンタジア(Fantasia)』(1940年)で使用された。
作曲家自身も3度書き改めていて、その第3稿を下にリムスキー=コルサコフが現在よく聴かれる形にまとめました。その有名な演奏から、作曲家自身の原典版もCD時代になって、それぞれに個性が有る録音が数多いので聴き比べるのが楽しい。
ちなみに、ムソルグスキーは1877年に『禿山のヨハネ祭の夜』と題する原曲を完成させ、何度かオペラ化を試みた。しかし、師匠のバラキレフをはじめとする5人組の仲間に批判されるなどして実現できずに居るうちに、1881年、アルコール依存症による精神錯乱で亡くなってしまう。
オリジナルとかなり違うという謎
日本でもよく知られている曲だが、ムソルグスキーが書いたままに演奏したオリジナル版のCDを聴いてみると、これまで親しまれてきた『禿山の一夜』とは、ずいぶん異なることに気づく。
ざわざわと群衆が行き交う気配は有るのだが人里離れた真夜中の禿山には聞こえない。リムスキー=コルサコフがムソルグスキーの遺稿の中から『禿山のヨハネ祭の夜』と、それをオペラにした最終稿『ソロチンスクの定期市』の中の曲、そして何人かの作曲家の合作によるオペラ・バレエ『ムラダ』の中のムソルグスキーの曲を組み合わせ、今日知られる『禿山の一夜』に管弦楽編曲したのである。
ムソルグスキーの管弦楽曲は、実は、ほとんどがこのリムスキー=コルサコフによる編曲だったのである。
NHK-FM「きらクラ」の愛聴者は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」がラヴェル編曲で、原曲のピアノ版は印象が違うことは良く分かっていることでしょう。
後日改めて後述しますが、ムソルグスキーのオペラは素晴らしいし、膨大な歌曲にムソルグスキーの面白さを発見できますよ。
さて、きらクラDONの川シリーズが、ヴルタヴァ、ライン、隅田川、小川と来て、初夏の山シリーズに成るのでしょうか。
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