きらクラDON 第137回の回答は、交響曲第41番《ジュピター》から第4楽章だ。
交響曲第41番ハ長調 KV.551 《ジュピター》から第4楽章、モルト・アレグロの冒頭
Wolfgang Amadeus Mozart/Jupiter
2016年6月21日のきらクラDON。出題は音量がアップされているのが感じられた。静かに始まって盛り上がる曲に違いない。
序曲かな、ロッシーニ? モーツァルト?、、、モーツァルトの歌劇の序曲を順番に思い出していく。
夜想曲つながりで、セレナーデかなぁ。だとすれば、第3楽章とか第4楽章。木管、金管、打楽器も加わっている感じだから交響曲だ。あっ、この終楽章の主題で特長的な音型(C-D-F-E、ド・レ・ファ・ミの4音符)が曲名の由来になった交響曲だ。
答えはモーツァルト作曲 交響曲第41番ハ長調 K.551から第4楽章 モルト・アレグロの冒頭ですね。穏やかに始まって気持ちが高揚すると次々に花火が打ち上がる。
ジュピターというのは、ギリシャ神話の創造神ですが、このニックネームをつけたのはモーツァルトではありません。『モーツァルト巡礼(1955年)』によると、ドイツ出身の音楽家、ヨハン・ペーター・ザーロモンが名付けたとされています。曲のスケールの大きさ、荘厳で輝かしい曲想を的確に表した言葉でしょう。19世紀には、この交響曲をジュピターと呼ぶことが人々の間で広まっていたようです。
■第4楽章で最初に出てくる「ドー・レー・ファー・ミー」という音型は「ジュピター音型」と呼ばれている主題です。この音型は、モーツァルトの作品を遡ると交響曲第1番の第2楽章に既に、この音型が現れています。モーツァルトの最初と最後の交響曲に同じ音型が現れていることは非常にミステリアスです。しかし、この主題自体、古くから多くの作曲家が使われてきた主題らしいと最近では解ってきています。
■弱音で奏される序奏からの鼓動が高鳴るような盛り上がり、再現部を通じて演奏されます。3重フーガの技法は素晴らしく、曲の最後までそのクラッシックの明快さと、壮大なイメージが繰り広げられます。『終曲にフーガをもつ交響曲』としても知られるのは、この第4楽章の壮大さにあるのかもしれません。
モーツァルトはその生涯の中で、41の交響曲を作っています。作品番号のないものも併せると46曲、とは言え37番は欠番ですし、カール・ベーム指揮ベルリン・フィルの交響曲全集では第55番とされた曲もあります。その中でも、最後に作られた交響曲第41番ジュピターは最高傑作と言われています。たった2週間で作り上げたこの交響曲は、モーツァルトの作った曲の中ではダントツの人気を誇り、聴くものだけではなく、演奏する者にまで感動を与える音楽となったのです。モーツァルトは曲を作るのに時間をかけませんでしたが、その短い時間の中で、素晴らしい作品を作り上げることができたというのは、曲の素晴らしさはさることながら、モーツァルトが天才だと呼ばれる一因になっています。
モーツァルトは子供時代にヨーロッパ各地を大旅行した時に耳にした他の作曲家の作品や、地方の民謡からメロディーを着想している点が多く見受けられるようになってきました。このジュピターは、わずか2週間で完成していますから主題に頓着はなかったのでしょう。しかも、モーツァルトが楽譜で書き残したことで、後世の様々な音楽家に影響を与えたジュピター音型。
出題された部分では、そのジュピター音型まではなかったので、静かでざわざわした始まりに何が似ているのか、今回のニアピンも楽しみだ。
この曲は1788年8月10日に完成された。先週の答えが、夏の夜の夢から夜想曲で、夏至に縁がある曲。今回は夏の曲つながりでしょうか。番組で選曲されているのも、初夏を涼しく過ごせるような曲揃いですものね。
モーツァルトの傑作、ジュピター◎そのエッセンシャル2種
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