きらクラDON 第143回の回答は、古関裕而の全国高等学校野球選手権大会の歌《栄冠は君に輝く》の冒頭だ。
全国高等学校野球選手権大会の歌《栄冠は君に輝く》 の冒頭
古関裕而/栄冠は君に輝く
今回、変化球で来ましたね!?
2015年8月2日放送の
きらクラ きらクラDON の答えは、古関裕而作曲 《栄冠は君に輝く》の冒頭でしょう。 ―― 副題は、全国高等学校野球選手権大会の歌 ―― 季節柄でもありますが、うろたえ(戸惑い)ました。行進曲の前奏までは、わたしの記憶のキャパでは及ばなかった。
出題が丁度歌いだしの主題が出る直前まで聴くことが出来たので恐らくとは推理しましたが曲目はわからなくって、SNSに頼りました。
■『栄冠は君に輝く』は加賀大介作詞、古関裕而作曲の歌・行進曲。1948年に発表された時には、中村道子作詞となっている。すでに文筆家だった中村義雄が名前を伏せて居たことを後年明らかにして、更に現在は中村義雄氏のペンネームである加賀大介に変更されている。
■古関裕而(古關 勇治 / 1909~1989)は音楽大学出身ではないが、1929年にチェスター楽譜出版社募集の作曲コンクールに入選、日本人として初めて国際的コンクールの入選履歴を得た作曲家である。それを機会に山田耕筰の推挙で東京の楽壇に進出する。クラシック畑からポピュラー畑に転身し、多数の軍歌、歌謡曲、早稲田大学第一応援歌「紺碧の空」、慶應義塾大学応援歌「我ぞ覇者」、東京農業大学応援歌「カレッジソング」、中央大学応援歌「あゝ中央の若き日に」、 全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」、阪神タイガースの応援歌大阪(阪神)タイガースの歌(「六甲颪」)、読売ジャイアンツの応援歌「巨人軍の歌(闘魂こめて)」、東京五輪のオリンピックマーチなどの、多くの応援歌、行進曲の作曲を手がけ和製スーザと呼ばれた。気品ある格式高い曲風で知られ、現在でも数多くの作品が愛されている。古関が作曲した曲は5,000曲に及ぶという。作曲の作業には楽器を一切使わずに頭の中だけで行ったといわれる。
戦後日本の発展の象徴でもある1964年開催の東京オリンピックの開会式に鳴り響いた『オリンピック・マーチ』は、とても素晴らしい作品ですが、『長崎の鐘』、『君の名は』、『高原列車は行く』などの流行家の印象が強い。しかし戦後の古関は、クラシック音楽の作曲を完全に諦めていたわけではなく、菊田と共同したミュージカル『敦煌』から交響組曲『敦煌』を編んでいる。
それを考えて聞き返してみると、テノールの美しい音色と格調のあるリートのベルカントで歌唱する藤山一郎、叙情溢れるリリックなバリトンで熱唱する伊藤久男などの歌手にも恵まれた。クラシックの香り溢れる流行歌や、勇壮で清潔感のあるスポーツ音楽が大衆の心を捉えたのはサロン的なクラシック音楽ではなくて、ヴェルディのオペラのように聞くものの胸を鷲掴みするような音楽を作った日本人作曲家だと言っていいでしょう。
古関裕而の流行家が好きな人は、オペラティックな音楽にも心動かす素養がありそうです。
「栄冠は君に輝く」は夏川りみさんや、平原綾香さんら現代のシンガーも気持ちよく歌っているところからしても、昭和23年の曲だという印象はなく歌っているんじゃないかしら。甲子園でも現代的に聞こえますね。
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