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　クリストファー・ホグウッドは、1941年９月10日にイングランドのノッティンガム生まれ。チェンバロ奏者、指揮者であると同時に、音楽学者、評論家。ケンブリッジのペンブロック・カレッジで古典学を学んだ後、専攻を音楽に変更し、チェンバロ奏者として出発。レイモンド・レッパードとサーストン・ダートなどに師事し、やがてプラハに留学してカレル大学で研究を行い、ラファエル・プヤーナやグスタフ・レオンハルトらにチェンバロ演奏を学んでいます。
　その後、ホグウッドは26歳のときにデイヴィッド・マンロウとともにロンドン古楽コンソートを創設、マンロウが亡くなる1976年までルネッサンスからバロックの様々なパートリーをとりあげ、その間、アカデミー室内管弦楽団のソリストを経て、楽譜編集・校訂者として活躍、やがて1973年には自身のアンサンブル「エンシェント室内管弦楽団（Academy of Ancient Music）」を創設、バロックやモーツァルトをレパートリーに古楽の指揮者としての活躍を開始する。
　エンシェント室内管弦楽団との代表作でもあるモーツァルトの交響曲全集では、自身、優秀な音楽学者でもある人脈を活かし、モーツァルト研究の第一人者であるニール・ザスローの協力を得て、奏法や楽器編成、作品解釈などについて徹底した研究をおこなっていました。その結果、序曲やセレナードなどもシンフォニーとして採り入れ、収録作品は偽作も含めて実に71曲に達し、かつてない規模でモーツァルトの交響曲の世界がその全貌をあらわすことになっていました。
　その後は活動範囲を世界に拡大していきました。各地のさまざまなオーケストラを指揮する一方、新たなレパートリーにもどんどん挑戦して意欲的な活動を展開、1988年には、セントポール室内管の音楽監督も務めている。
　2014年の春までは、指揮者として音楽学者として元気に活躍、11月には来日公演もおこなう予定でしたが、７月には病気療養のために来日中止が発表され、心配されていた矢先の９月24日、ケンブリッジの自宅で亡くなった。
　ヘンデル研究と演奏の権威として有名だったホグウッドは、同時代のイギリスのバロックやルネッサンス作品にも造詣が深く、オワゾリールに遺したイギリス音楽、モーツァルトとハイドンの交響曲全集、ベートーヴェンの協奏曲まで、指揮者で優れたチェンバロ奏者という強みを活かしたアルバムを数多く制作していました。なかでもホグウッドのオワゾリール時代の代表的プロジェクトでもあったヴィヴァルディ作品のレコーディングは、1976年から1996年にかけての20年を費やして制作されたもので、ヴィヴァルディの面白さが端的に示される協奏曲を中心に、声楽作品まで含む大規模なものとなっています。