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Charles Louis Ambroise Thomas

パリ音楽院に学び、ローマ大賞を受賞。グノー、オッフェンバックらと同じ時期に、パリを中心に活躍したオペラ作曲家である。ダニエル・オーベールの伝統を継ぐ作品によって、若い頃から既にパリで名を知られていたがトーマの名を国際的に広めたのは、1866年の歌劇「ミニヨン』によってだった。ゲーテの「ウィルヘルム・マイスター」を題材とした、やさしく、美しく、愛すべき抒情歌劇である。第２幕のミニヨンのアリア「君よ知るや南の国」は殊の外名高い。

20曲にのぼる歌劇作曲のうち、前記「ミニヨン」、1868年の「ハムレット」、1882年の「リミニのフランチェスカ」の３作品が、今日でもよく上演される。晩年は、パリ音楽院院長、学士院会員など国家的な栄誉を受け、パリの楽壇の長老として活躍した。

ミニヨンのアリア「君よ知るや南の国」は格段に好きなアリアです。「良い音楽と悪い音楽とがある。それとアンブロワーズ・トマの音楽もある」とはエマニュエル・シャブリエが言ったことですが、そのとおりです。今風に表現したら「“神”曲」ですね。
学生時代の教科書でミニヨンを知り、余白にアリアのことも紹介されていたので関心をいだきました。その時に聞いたのはオペラ歌手のソプラノではなく、歌曲を主体に人気だったソプラノが録音した歌声を聴いて、曲の虜になりました。
そこからオペラに接し、クラシック音楽に足を踏み入れたので、わたしの原点はフランス・オペラと言えそうだ。それ以前に、ビゼーのカルメン、フォーレ、サン=サーンスがフランスの作曲家という認識は十分にあったし、NHKの名曲アルバムで紹介される傑作は一通り接してましたが、「これが大好き。この曲はわたしの歌だ」と強い思いになったのは初めてのことでした。