ツィターのアントン・カラス没 ― 1985年1月10日
ソプラノ歌手ではなく、ツィターの名手、アントン・カラス(1906〜1985)の命日が今日。新春のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートで近年、様々な楽器が登場する。指揮者がワンポイントで使う楽器(のようなもの)も定番化してきた。2017年のグスターヴォ・ドゥダメルは鳩笛を吹いた。面白いのでは指揮者がポケットに入れていた携帯電話が鳴ったこともある。2017年のグスターヴォ・ドゥダメルの演奏会でのポルカ・マズルカ《ナスヴァルトの娘》でのハープの伴奏を伴った、コンサート・マスターと、首席奏者のデュエットは恍惚にとろけるようなウィーンの香気を放っていた。
あぁ、この陶酔感はヨハン・シュトラウスの音楽に魅了されるきっかけとなった《ウィーンの森の物語》をレコードで聞いた時だと想い出す。小学生の頃、ワルトトイフェルのワルツ《スケートをする人々》やヨハン・シュトラウス2世の《美しく青きドナウ》を気に入って、楽しい音楽だと認識した時に《ウィーンの森の物語》の虜になった。その後、何十年もシュトラウス・ファミリーのワルツの中で一番好きだと豪語していた。
ヨハン・シュトラウス楽団は毎年ヨーロッパ中を演奏旅行して、旅先の郷土楽器をワルツに取り入れていった。それが他の楽器で代用できるくらいのものではなかったところが、ヨハン・シュトラウスの作曲技量を図れる。ブラームスが交響曲の世界で大成することを目指していたから、ヨハン・シュトラウスは交響曲を書かなかった。歌劇を一度は書いたが、喜歌劇に進んだのも親友への義理立てだろう。