心に突き刺さってくる*ハイフェッツ、ビーチャム指揮ロイヤル・フィル モーツァルト、メンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲

武者がえし

2020年12月13日 05:00

通販レコードのご案内 難しすぎたモーツァルトと、彼はユダヤ人じゃないだろうとナチがスットボケたメンデルスゾーン。

《仏ラージドッグ・セミサークル銀文字フラット盤》FR VSM FALP136 ハイフェッツ&ビーチャム メンデルスゾーン/モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲 これまでに、五嶋みどりやベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターの樫本大進等が演奏し、五嶋龍が現在演奏しているストラディバリウスの銘は「ジュピター」。そのストラディバリウスの中でも3大銘器の「ドルフィン」「バロン」「メサイア」は帝王ハイフェッツが演奏していた。彼のレコードで聴く音色は、そのどのヴァイオリンかということになる。
 銘の由来はそれぞれだが、巨匠アイザック・スターンが生涯愛用した楽器の中には小さなラベルが貼られ、赤いインクで「このデル・ジェスは私の生涯を通じて忠実なパートナーだった。イザイ1928」とフランス語で書かれている。イザイの国葬の際には棺の前をクッションに載せられ行進した名器としても知られ「イザイ」の名前が付けられた。そのアイザック・スターンの登場により、ハイフェッツは自分のテクニックを鍛えなおす為に演奏活動を中断して1年間練習したそうですが、そもそもハイフェッツが大衆向けの最高のパフォーマーなら、アイザック・スターンのヴァイオリン演奏の音色は美音というより、時に荒々しく、豪放磊落。それはハイフェッツにはないものだったと思われます。ハイフェッツはアグレッシブ ― 積極的で刺激的。テクニックではスターンの演奏で、それはそれぞれに自分の音楽性に絶対の自信が感じられる。
 イメージよりももっとロマンティックで名人芸的なモーツァルトの4番の協奏曲。本当はもっと古典的で荘重なメンデルスゾーンの協奏曲。 ― 演奏家としてのモーツァルトの名声は、主にピアニストとしてのそれである。彼の名前は19世紀になっても、「ウィーンの偉大なピアノ演奏家にして即興の名人」として伝わっていた。しかし、モーツァルトはそればかりではなかった。彼には父というすばらしい教師がいたお陰で、ヴァイオリンやヴィオラの奏者としても腕があった。彼がこの楽器を使って名人芸を披露することを目的に作曲したのは明らかで、彼の知る限りモーツァルトに優るヴァイオリン奏者がいなかった不遇が20歳前にこの楽器を独奏とする協奏曲の作曲から次第に遠ざかったものだろう。一方、メンデルスゾーンの楽譜は焚書としてナチス・ドイツから排除されながらも、ホ短調ヴァイオリン協奏曲はラジオ放送され、ライヴ録音も残っている。
 作品を鋳型にはめて解釈すると見落とされてしまうこうした面を、ハイフェッツは見逃しませんでした。あくまでも音楽を主体に、己の音を紡ぎ出すことに専念した彼のこうした姿勢は衒学的に非難されがちですが、この盤に収録されている馴染み深い協奏曲を聴けば、ハイフェッツがいかに偉大なる解釈レベルに達していた演奏家であるか明確になることでしょう。
 クリアで淡白とも言えるほどのテンポ。圧倒的な技術に対する驚きは今聞いても実に新鮮に感じられ、特にそれは細かいトリルやパッセージワークで効果が素晴らしい。常に聞く手の予測を2歩も3歩もリードするようなスケールの大きさの演奏。そして何より、音符一つ一つ全てが驚くべきエネルギーで心の真ん中に突き刺さってくるような、ハイフェッツの独特ではあるが同時にヴァイオリン界、音楽界の全てを物語ってくる奏法です。
 メンデルスゾーンは初録音。この10年後に録音した RCA 盤が有名ですが、当盤の方が抒情的な趣があり曲想に相応しい切れの良い技巧と濃厚な色気のある歌い方は同じだが、しなやかで剛直になり過ぎない当盤の方が好感が持てる。モノーラル録音。

初期盤・クラシックレコード専門店「RECORD SOUND」
ヤッシャ・ハイフェッツ(Iosif (Yasha) Ruvimovich Heifetz, 1901.2.2 -1987.12.10)は20世紀を代表するヴァイオリニストであり、「ヴァイオリニストの王」と称された。ベルリンの演奏会にエフレム・ジンバリストと共に偶然居合わせたフリッツ・クライスラーが、まだ13歳のハイフェッツの演奏を聴き「私も君も、これ(ヴァイオリン)を叩き割ってしまった方が良さそうだ」、「私の究極の到達点をスタートラインにして、無限に記録を伸ばした天才」と評価したエピソードも残っている。ハイフェッツの時代にいたヴァイオリニスト達は、彼の神憑り的な演奏のために非常に苦労して、例外なくハイフェッツ病に罹ったとイツァーク・パールマンは語っている。ボウイングの特徴として弓速が速いことが挙げられる。しかし弓の返しや先弓での粘りは、非常に丁寧で等速的にゆっくりである。特徴的な音色は、このボウイングに因るところが大きい。演奏のテンポは概して速く、晩年になっても遅くなることは殆ど無かった。
使用楽器
1736年製カルロ・トノーニ(1917)
1740年製グァルネリ・デル・ジェス「Ex.David, Heifetz」(1922-1987)
1731年製ストラディヴァリウス「Heifetz-Piel」(1925-1950)
1714年製ストラディヴァリウス「Dolphin:ドルフィン」(1950)3大銘器の一つ。
1715年製「Alard, Baron Knoop」シンガポール個人コレクター所有。
1716年製「Messiah:メサイア」英オックスフォード・アシュモリアン美術館収蔵。
録音:1947年(メンデルスゾーン)、1949年(モーツァルト)。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

Felix Mendelssohn-Bartholdy, Wolfgang Amadeus Mozart ‎– Concerto En Mi Mineur Op64, Concerto N°4 En Ré Majeur K.218 ‎– La Voix De Son Maître ‎– FALP 136
レコード番号
FALP136
作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
演奏者
ヤッシャ・ハイフェッツ
オーケストラ
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
トーマス・ビーチャム
録音種別
MONO
"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH SILVER LETTERING, MONO FLAT 1枚組(180g)。

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX++
製盤国
FR(フランス)盤
セミ・サークル・ラベル》赤の地に上半分の半円の中に蓄音機とニッパー君の絵が入り、半円の上部は「HIS MASTER’S VOICE」のロゴが印刷されたデザインになります。これを、「半円(セミサークル)ニッパー( "LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" )」と呼びます。レコード番号では、ASD の 576 あたりから 2470 までは、オリジナルであると考えられています。番号後期になるとレコード盤のプレス精度も高品質化していますために、上質な盤のレコードが多くあります。

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品番 / 34-20731
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