100年前の蓄音機をスタジオ内に設置、 秘蔵のSPレコードをその場でかけながら奥深く優雅な〝音〟を愉しみます。
文化であれ、投資だろうと、ヴィンテージ盤への注目と、若いミュージシャンが発見したヴィニールの音がバンドサウンドに良さを上乗せすること。メディアとしてはアナログ盤は弱点は多くて脆いけど、それを文化財だからとデータ化して博物館に死蔵することは愚かしいこと。それはカセットテープやビデオ作品の二の舞いになると警鐘したいです。ラジオのDJがアナログの45回転盤を好んで使っているのは嬉しいし、蓄音機でSPレコードを実際に再生して放送するラジオ番組も増えている。
NHK-FM で無いのがもったいない、という声も聞こえてきそうですが、心配ご無用。近頃AM放送もFM並みの高音質。らじる★らじるもインターネット放送の利点をうまく使っていて、パソコンやアプリの設定加減でクォリティ高く楽しめます。
NHKラジオ第1放送 教授のおおみそか 蓄音機&SPレコード特集 12月31日、午後10時05分から放送
100年近く前に製造された蓄音機をスタジオ内に設置、黒崎政男教授・梅田英喜氏秘蔵のSPレコードをその場でかけながら、奥深く優雅な〝音〟を愉しみます。今回の聞きどころは…1940年”幻の”東京オリンピックのために作られた楽曲と、聞きごたえ抜群の!年末恒例「SPレコード紅白歌合戦」!
昭和の音盤が教えてくれるもの
熊本市中央区で蓄音機でSPレコードを楽しむ鑑賞会を、毎月第4日曜日の午後開催。2時間半を第1部、第2部と解説者も分けて、前半クラシック、後半は流行歌と洋楽の構成はずっと変わらず、昭和63年5月に第1回が始まってから、毎月欠かすことなく続き、平成30年12月で通算第361回を迎えました。
但し、平成28年には4月14日・16日の熊本地震で急遽開催を休止。5月、6月は安全が確認されている公共施設は避難所になっていたために開催を見送りました。しかし、地元最大手の鶴屋百貨店の高級オーディオ・ルームを会場にして、昭和2年の英国製蓄音機(H.M.V. 157)でのSPレコードと総額数千万円の高級オーディオでハイレゾ音源を再生して聴き比べるスタイルで、7月、8月に特別開催して9月から通常鑑賞会を再開しました。それも、今年の9月で10回を数えるイベントとなりました。
熊本地震からの復興応援としての企画は、地元新聞社でも案内してもらうことが出来てSPレコードの音を蓄音機で実際に聞くのは初めてという参加者から、わたし達が気づかないでいたことを感想としていただき改めて長年実行してきたことを今後も続けていく心構えになりました。きっと「教授の休日」の番組スタッフの皆さんが手応えにしている思いと同じです。そして、中途半端な装置で形だけの鑑賞会ではなく、しっかりした蓄音機で鑑賞しあうことの大切さも感じます。
熊本地震の被害も、シングル盤一枚と、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のSP盤1セットが割れてしまっただけでした。鑑賞会の登録会員に怪我人もなく再会出来たことは一番嬉しいことでした。過去には、北九州の蓄音機愛好会と共演したこともあります。その折にはクラシックを前半にプログラムにしているスタイルを熊本だけだと感想をいただきました。70分間みっちり交響曲や協奏曲を通して聴いてもらっています(小品の組み合わせでないのも、珍しいのかもしれませんが熊本に交響曲や協奏曲のアルバムが熊本大空襲をくぐり抜けている事実は驚きです)が、解説が良いので普段は聞かないクラシックだけども、この会で聴くのが楽しみで、とっつきにくさがなくなったと常連参加者さんからの励ましを貰っています。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲が5曲揃ったのを機会に、昨年は、ベートーヴェンを連続で鑑賞してきました。ヴァイオリン協奏曲、後期弦楽四重奏曲、三重奏曲と聴いてきて、新年は交響曲第1番から、9曲を順に鑑賞していくことになりました。過去にはヴァイオリン・ソナタ全10曲の連続鑑賞も行っているので、SPレコード時代に名盤とされたベートーヴェンの名曲は網羅しそうです。
そして平成最後になるので、昭和8年頃から戦中にかけての流行歌も「平成版 名曲百選」選出するシリーズも新年で、第9回になります。NHKのSPレコードの番組は、活動の励みになっています。ぜひともいつの日か番組との交流ができれば楽しいことでしょう。
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