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2017年11月24日

冬の夜、暖炉の傍で親しい友と昔語り ― 仲道郁代 ロマンティックなピアノ第6曲〜ブラームス 間奏曲 作品118-2

ブラームス:間奏曲 作品118の第2曲

 作曲家は、生きることへの直向な思いをピアノの音に託してきた。正味4分もないですが、デビュー30年になる仲道郁代さんが簡潔に作曲の背景を紐解き、演奏の秘密を解き明かす。ピアノ学習者向けにもなっているのは類がない特徴です。
 今日、2017年11月24日放送(再放送)、番組で紹介されるのはブラームスの間奏曲 作品118の第2曲、ピアノ曲集「6つの小品」に含まれてます。かつての若かった自分を懐かしむような穏やかな哀愁に満ちた旋律は約6分で消えるように終わってしまいますが、その余韻は心に深く残ります。シューマンは一人称で曲を書き通した作曲家でしたが、ブラームスの音楽には対話を感じます。ブラームス最晩年に続けて発表されたピアノ独奏曲集。〈7つの幻想曲 作品116〉、〈3つの間奏曲 作品117〉、〈6つの小品 作品118〉、〈4つの小品 作品119〉。その中でもこの作品118は最も演奏されることの多い作品でしょう。
仲道郁代ロマンティックなピアノ

2017年11月24日(金) 23:55~24:00

 この曲は、ブラームスが亡くなる5年前に作られた。彼は自分の師、シューマンの妻・クララに終生、恋をしていた。シューマンは若くして亡くなり未亡人となったクララは、ブラームスを支えるとともに、インスピレーションの源になっていた。晩年のブラームスは自分の人生を振り返りながら、どんな思いでこの曲を作ったのか。

かつての若かった自分を懐かしむような穏やかな哀愁に満ちた旋律が心に深く残る

〈ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102〉を最後に管弦楽曲を作曲しなくなったブラームスは、弦楽五重奏曲、クラリネット五重奏曲を書いた後は、前述したピアノ独奏曲集に集中します。ここでブラームスは、かつて多くの歌曲の中で見せた独特の和声調和や詩的内容の凝縮を再び試みた。ここで表現される感情の変化はもはや過ぎ去った過去の物であり、かつての若かった自分を懐かしむような穏やかな哀愁に満ちた旋律が心に深く残る作品である。
 第2番「間奏曲」イ長調は、この作品118のなかでも特に単独で演奏されることが多い。長調で明るい曲調ですが、憂いがある。壮大な盛り上がりもありません。どこまでも抑えめです。
 懐かしさを感じさせる第1部では、同じモチーフの旋律が何度も確かめるように様々な和声進行で表れ、中間部では「かつての」思いが短調でメランコリックに、そして長調で内面的に奏される。
 ブラームスは、なにかというとクララによく相談をしていたそうです。作曲など音楽についても、当時一流の女流ピアニストであるクララに、弾きにくいところはないかとか、聴いた感じどうかとか、いろんなアドバイスを求めたそうです。クララを熱烈に愛していた時期もあったようですが、シューマンの死後は、どちらかというと「敬愛」とでもいうような、一段高い次元の関係だったようです。その時分になると、うまくいかなかった過去の恋の話なども恥ずかしさもなく微笑み交えて思い出話にしたかもしれません。
 途中の旋律は、ちょっとはにかむようなところもあります。次第に昔の気持ちを奮い出したのか暫し高ぶりますが、そのあとすぐに静かになって、最後は、またそっと最初の旋律に戻って静かなまま終わります。

ヨハネス・ブラームス(1833〜1897) ドイツ・ロマン派を代表する作曲家。ドイツ古典派音楽の伝統を尊重し、ワグナー、リストらの新ドイツ派に対立して絶対音楽的な立場に立った。主要作品は4曲の交響曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲のほか「大学祝典序曲」「ドイツ・レクイエム」「ハンガリー舞曲」など。
 1987年11月5日、昭和女子大学人見記念講堂でのソロ・リサイタル・デビュー以来、日本を代表する人気ピアニストとして日本の音楽シーンを走り続けている仲道郁代。
 デビュー・コンサートおよび同時に発売されたRCAへのデビュー・アルバムに大胆にもシューマンの大作ピアノ・ソナタ第3番「グランド・ソナタ」を選び、活動初期にはシューマン作品の演奏で高く評価されてきた仲道が、デビュー30年を機に自らの“音楽の故郷”ともいうべきシューマンに戻ってきた。
 デビュー30周年を記念するアルバムのために選ばれたのは、仲道が長年録音を切望しながら果たせなかった「幻想曲」と「交響的練習曲」という大作2曲と、美しい佳品「ロマンス嬰ヘ長調」。2017年4月、カラヤン/ベルリン・フィルの録音で知られるベルリン・イエス・キリスト教会での3日間のレコーディング・セッションで収録され、仲道が描き出すシューマンのファンタジーの世界が深みのある絶美のサウンドで捉えられている。
 デジタル録音のノウハウも蓄積され、ずば抜けたピアノ録音のCDをリリースしソニークラシカルが注目されていたタイミングで、マレイ・ペライアの録音エンジニアがRCA専属の仲道郁代さんを迎えて、タイトルにあるようにロマンティックな雰囲気がたっぷりのCDを作りました。
 曲はシューベルトからブラームスまで、ロマン派の作品群を仲道郁代さんなりにセレクトした名盤。折しも大作曲家の影に隠れてきた女性作曲家が注目され始めていたタイミングのリリースで、ニューヨーク録音のヤマハの響きの素晴らしさもさることながら、出だしのフェリックス・メンデルスゾーンの姉、ファニー・メンデルスゾーンの〈メロディ〉からして、このCD全体の構成は通好みを唸らせる。素直な流れだとメンデルスゾーンを前半に置きたいところでしょうが、仲道郁代さんの“音楽の故郷”とも言うべきシューマンは再録音で演奏内容が充実している。このCDに出会って、仲道郁代さんの存在は私の中で数十倍も大きくなった。仲入りというべき、シューベルト「即興曲変ロ長調」の右手で奏でる音の空中を漂う響きがとても心地よいし、最後のブラームスの間奏曲は心洗われ絶品。


 ピアノは雄弁です。作曲家が託した思い、演奏家が託す思いを、ピアノの音は語ります。
 ピアノの名曲には、名曲たる所以があります。なぜ、その曲は、聴くものの心に響くのか。ピアノの曲に込められた思いや意味とは何か。演奏家は、それをどのように音にしていくのか。
 この(番組や仲道郁代さんの)コンサートでは、そんな名曲の秘密に迫ります。お話とともに、ピアノの音に浸る。より深く曲の世界に入ってみる。そんな空間・時間を、ご一緒にお過ごしいただきたいと思います。

プロフィール

仲道郁代 - IKUYO NAKAMICHI -
 デビュー30周年を迎える2016/2017シーズンは、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団とのツアーを行ったほか、ショパンとチャイコフスキーの協奏曲の記念コンサート(東京・兵庫)、記念リサイタル(全国各地)、ブラームスとショパンの人生から描いた演劇とのコラボレーション企画(全国7公演)などを実施。2016年にはCD『ショパン:ワルツ』『永遠のショパン』、2017年3月にはショパンのリサイタルを収録したDVDをリリース。秋にはシューマンのアルバムを予定している。
 桐朋学園大学1年在学中に、第51回日本音楽コンクール第1位、あわせて増沢賞を受賞。文化庁在外研修員としてミュンヘン国立音楽大学に留学。ジュネーヴ国際コンクール最高位、メンデルスゾーン・コンクール第1位メンデルスゾーン賞、エリザベート王妃国際コンクール5位と受賞を重ね、国内でも村松賞、モービル音楽奨励賞を受賞した。これまでに、マゼール指揮ピッツバーグ響、バイエルン放響、フィルハーモニア管、ズッカーマン指揮イギリス室内管(ECO)、ブルゴス指揮ベルリン放響、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルなどと共演。カーネギーホール、ベルリン・フィルハーモニーホール、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニーホールなどでもコンサートを行ってきた。05年には、英国チャールズ皇太子夫妻ご臨席のもとウィンザー城で行われたイギリス室内管弦楽団(ECO)主催の「結婚祝祭コンサート」に出演し称賛された。
 レコーディングはソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び、多数のCDを発表。著作に『ピアニストはおもしろい』(春秋社)等がある。一般財団法人地域創造理事、大阪音楽大学特任教授、桐朋学園大学教授。テレビ番組、新聞、雑誌などメディアへの出演も多く、音楽の素晴らしさを広く深く伝える姿勢は多くの共感を集めている。
仲道郁代 オフィシャルHP http://www.ikuyo-nakamichi.com




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