「クラシック音楽専科ガイド」
オリジナル稀少盤、アナログ・レコード優秀録音盤のアナログサウンド! 

1960年代、70年代、80年代までのクラシック音楽のアナログLPレコードの、欧米で発売された当時の『オリジナル盤』初版盤、レアなレコードぞろい。優秀録音と評価の高い録音をメインにコンディションの良いものを案内しています。


2020年05月12日

輸入メタル使用盤◉唯一のスタジオ録音 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・交響曲3番《英雄》

 タンノイのロイヤルGRでアナログLPを楽しむ鑑賞会で、『バイロイトの第九』を聴いて、ずっしりとした手応えを感じた参加者は多かったようだ。第1楽章が終わったところで緊張を解くような深い深呼吸が起こった。レコードを聴いているとわかっているのに、この感動は稀なことだ。しかも、集ったみんながそうなのだから。

フルトヴェングラーだけが成し得た、人間感情の吐露が神々しさと凌ぎ合っているところに魅力を覚えるのです。

 ピリオド楽器演奏や、ベートーヴェン時代の音楽習慣が研究されて、それを反映した現代の演奏に慣れきると、極めて遅いテンポで、じっくりと始まって徐々に巨大に高揚していく。しかし、音楽が停滞したりもたれると感じることは全く有りません。
 フルトヴェングラーの演奏は急激なアッチェレランドなど部分的なデフォルメに驚かされるが、決して全体の統一感を損なわないし不思議と構造的な破綻を感じない。そんな相反することを同時に成し遂げられる演奏家はフルトヴェングラーしか居ないし、人間感情の吐露が神々しさと凌ぎ合っているところに魅力を覚えるのでしょう。

 フルトヴェングラーは自身の著書「音と言葉」のなかで、ベートーヴェンの音楽についてこのように語っています。『ベートーヴェンは古典形式の作曲家ですが、恐るべき内容の緊迫が形式的な構造の厳しさを要求しています。その生命にあふれた内心の経過が、もし演奏家によって、その演奏の度ごとに新しく体験され、情感によって感動されなかったならば、そこに杓子定規的な「演奏ずれ」のした印象が出てきて「弾き疲れ」のしたものみたいになります。形式そのものが最も重要であるかのような印象を与え、ベートーヴェンはただの「古典の作曲家」になってしまいます。』その思いを伝えようとしている。
 伝え方がフルトヴェングラーは演奏会場の聴衆であり、ラジオ放送の向こうにある聴き手や、レコードを通して聴かせることを念頭に置いたカラヤンとの違いでしょう。その音楽を探求するためには、ナチスドイツから自身の音楽を実体化させるに必要な楽団を守ることに全力を取られた。そういう遠回りの中でベートーヴェンだけが残った。やはりフルトヴェングラーに最も適しているのはベートーヴェンの音楽だと思います。カラヤンとは異世界感のシロモノで、抗わずに全身全霊を込めて暖かい弦楽器が歌心一杯に歌い上げた演奏で感動的である。

 フルトヴェングラーが死の2年前にウィーンの楽友協会大ホールで録音した、この《英雄》はゆっくりしたテンポによる非常にスケールの大きな演奏で、セッション録音にもかかわらずライブを思わせるような緊張感に満ち溢れている。それはウィーン・フィルが全力でフルトヴェングラーの要求に応えているからで、オーケストラにフルトヴェングラーの魂が乗り移ったかのような錯覚を聴き手にもかんじさせるほどである。1952年11月26日、27日録音、セッション録音ゆえに演奏の完成度、録音状態もフルトヴェングラーの《英雄》の中では最もよい。フルトヴェングラーの《英雄》への最終回答となったこの演奏は、この世紀的巨匠の最高の《英雄》と言ってよいだろう。

通販レコードのご案内数あるヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮によるベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」のうち、最も正統的で風格ある演奏だ

JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7131 フルトヴェングラー・ウィーンフィル BEETHOVEN SYMPHONY NO.3 《東芝EMI盤》JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7131 フルトヴェングラー・ウィーンフィル BEETHOVEN SYMPHONY NO.3 "EROICA" スタジオ録音だったからか、落ち着いた足取りから滲み出る滋味の深さ、ずっしりとした手応えは比類なく、味わい濃く彫りの深い演奏だ。古典的なしっかりした音楽の組み立ての中に、穏やかな緊張感と動的な活力を全体に漲らせて、ロマンティックな美しさを香らせる、フルトヴェングラーの解釈の周到さが光っている。フルトヴェングラーの『英雄』は10種類以上の演奏を現在は聞き比べることが出来るが、唯一のスタジオ録音。フルトヴェングラーだけが成し得た、人間感情の吐露が神々しさと凌ぎ合っているところに魅力を覚えるのです。
1960年代初頭リリース・当時の「東芝音楽工業株式会社」製レコードは丁寧な造りで英国直輸入スタンパー使っていた所為か高音質なものが多い。英仏盤のみならずこの東芝音楽工業時代に制作・録音された時代と同じ空気を感じられるのが初期盤収集の楽しみ。アナログ的で引き締まった密度のある音と音色で、楽音も豊か。情報量が多く、対旋律の細部に至るまで明瞭に浮かび上がってくる。高域は空間が広く、光彩ある音色。低域は重厚で厚みがある。オーケストレーションが立体的に浮かび上がる。
モノクロではなくこんなにカラフルで立体的なのは、さすが初期東芝工業盤、ハンドメイドの余韻が感じられます。
擬似ステレオ盤。モノラルのままで聞いた方がよほどマシと思われる擬似ステレオ評価ですが、ステレオの持つ特性の内、左右の音の方向感ではなく、コンサートホールでの臨場感を重視し、音の広がりと深みを付加するというもの。そのコメントには嘘がないと確信致しました。(1952年11月ウィーン、ムジークフェラインザールでの録音)
赤盤。直輸入輸入メタル 2ZVH-35/36 使用、名演、名盤

ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは、つねにトスカニーニ、ワルターと並称される20世紀最大の巨匠であるが、その役割は、ただ指揮者として偉大であったというばかりでなく、唯物的感覚的な今日の音楽認識世界のなかで、正統的ロマン主義を意義づけ、音楽の思弁的有機的意味を復活した、というような点でも歴史的存在なのである。

フルトヴェングラー年譜

1886年(明治19) 0歳
1月25日、ベルリンにて誕生。父は高名な考古学者アドルフ・フルトヴェングラー(1853~1907)。
1906年(明治39) 20歳
2月19日、カイム管弦楽団(現在のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団)を指揮してデビュー。ベートーヴェンの“献堂式”序曲とブルックナーの交響曲第9番を演奏。
1922年(大正11) 36歳
1月23日に急逝したアルトゥール・ニキシュ(1855~1922)の後任として、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1928年まで)およびベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任。
1926年(大正15) 40歳
10月16日、初録音。曲目はウェーバーの歌劇“魔弾の射手”序曲。
1927年(昭和2) 41歳
フェリックス・ワインガルトナー(1863~1942)の後継としてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任(1930年まで)。
1933年(昭和8) 47歳
9月15日、プロイセン枢密顧問官に就任。11月15日には帝国音楽院副総裁に就任。
1934年(昭和9) 48歳
11月25日、ドイッチェ・アルゲマイネ・ツァイトゥンク日曜版に「ヒンデミット事件」と題した論文を投稿。ヒンデミットの歌劇“画家マチス”を上演禁止したナチスと対立。12月5日、プロイセン枢密顧問官および帝国音楽院副総裁を辞任。1935年3月に両者和解し、指揮台に復帰する。
1937年(昭和12) 51歳
10月8日と11月3日、戦前最高の名盤と謳われたベートーヴェンの交響曲第5番を録音。
1942年(昭和17) 56歳
4月19日、ヒトラー生誕前夜祭でベートーヴェンの交響曲第9番を指揮。
1944年(昭和19) 58歳
12月、戦災に苦しむ同胞のためウィーン、ムジークフェラインザールにてベートーヴェンの交響曲第3番“英雄(エロイカ)”を放送用に録音。1953年にアメリカ、ウラニア社がレコード化し「ウラニアのエロイカ」として有名な録音となる。
1945年(昭和20) 59歳
1月28日、ウィーン・フィル定期演奏会へ戦前の最後の出演。1月30日にウィーンを発ちスイスへ亡命。第2次大戦終結後、連合軍から戦時中のナチ協力を疑われ、演奏禁止処分を受ける。
1947年(昭和22) 61歳
5月25日、「非ナチ化」裁判の無罪判決をうけ、戦後初めてベルリン・フィルの指揮台に立つ。曲目はベートーヴェンの交響曲第5番“運命”、同第6番“田園”ほか。
1948年(昭和23) 62歳
10月24日、ベルリンでブラームスの交響曲第4番を指揮。実況録音が巨匠没後の1959年にLP化され、同曲最高の名演の一つと言われるようになる。
1951年(昭和26) 65歳
7月29日、バイロイト音楽祭再開記念演奏会でベートーヴェンの交響曲第9番を指揮(7月29日)。このときの録音は彼の没後にLP発売され「バイロイトの第9」として有名になる。
1952年(昭和27) 66歳
11月26、27日、EMIへベートーヴェンの交響曲第3番“英雄”をセッション録音。同曲録音集、また巨匠のセッション録音中でも屈指の名盤との評価を得る。
1953年(昭和28) 67歳
5月14日、DGへシューマンの交響曲第4番をセッション録音。巨匠の最も優れたレコーディングとして知られるもので、音楽之友社刊『新編名曲名盤300』でもこの曲のベスト・ワンとして推されている名盤。
1954年(昭和29) 68歳
11月30日、ドイツ、バーデン=バーデンにて肺炎により死去。

通販レコード詳細・コンディション、価格

レコード番号
AA7131
作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
録音種別
STEREO

JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7131 フルトヴェングラー・ウィー…JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7131 フルトヴェングラー・ウィー…

東芝EMI前身東芝音楽工業謹製(赤盤), 重量盤160g, 直輸入輸入メタル 2ZVH-35/36 使用盤。

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX++
製盤国
JP(日本)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
 
オーダーは 品番 / 34-23948
販売価格 2,500円(税別)
「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。


通販レコードの購入にあたって・確認とお問い合わせは

プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。

入手のメインルートは、英国とフランスのコレクターからですが、その膨大な在庫から厳選した1枚1枚を大切に扱い、専任のスタッフがオペラなどセット物含む登録商品全てを、英国 KEITH MONKS 社製マシンで洗浄し、当時の放送局グレードの機材で入念且つ客観的にグレーディングを行っております。明確な情報の中から「お客様には安心してお買い物して頂ける中古レコードショップ」をモットーに運営しております。



.

https://fm-woodstock.com

通販サイトで毎日入荷、販売しています。

商品検索
同じカテゴリー(通販レコード)の記事画像
【500円均一】細菌、飛沫ウイルスなど空気中の微細物質を防ぐ ― 抗菌や防塵に効果的な三層構造の不織布サージカルマスク
ピアノが好きな人なら是非とも持っておくべき一枚◉ウラディーミル・ホロヴィッツ◯ホロヴィッツ・イン・モスコー
【歴史的音盤】反復を敢行した最初の録音◉メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル◯ベートーヴェン・交響曲3番《英雄》
音楽全体を流れるエネルギーが強烈◉臨場感 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル モーツァルト・「ドン・ジョヴァンニ」
【500円均一】細菌、飛沫ウイルスなど空気中の微細物質を防ぐ ― 抗菌や防塵に効果的な三層構造の不織布サージカルマスク
オーディオの拘り甲斐を感じる*ミルシテイン スタインバーグ指揮ピッツバーグ響 ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲
同じカテゴリー(通販レコード)の記事
 【500円均一】細菌、飛沫ウイルスなど空気中の微細物質を防ぐ ― 抗菌や防塵に効果的な三層構造の不織布サージカルマスク (2025-04-27 17:30)
 ピアノが好きな人なら是非とも持っておくべき一枚◉ウラディーミル・ホロヴィッツ◯ホロヴィッツ・イン・モスコー (2025-04-26 19:29)
 【歴史的音盤】反復を敢行した最初の録音◉メンゲルベルク指揮ニューヨーク・フィル◯ベートーヴェン・交響曲3番《英雄》 (2025-04-26 16:02)
 音楽全体を流れるエネルギーが強烈◉臨場感 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル モーツァルト・「ドン・ジョヴァンニ」 (2025-04-26 13:00)
 【500円均一】細菌、飛沫ウイルスなど空気中の微細物質を防ぐ ― 抗菌や防塵に効果的な三層構造の不織布サージカルマスク (2025-04-25 15:00)
 オーディオの拘り甲斐を感じる*ミルシテイン スタインバーグ指揮ピッツバーグ響 ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲 (2025-04-24 21:04)

名盤,魅力,アナログレコード,通販,熊本地震
Posted by 武者がえし at 06:30│Comments(0)通販レコード交響曲
コメントを表示されたくない時はコメントに明示してください。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。