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THE PHILADELPHIA STORY

　甘やかされて育った勝気でわがままなフィラデルフィア社交界の名門ロード家の令嬢トレイシー。実現不可能な高い理想を他人に求めるトレイシーが尊大な態度の重役と結婚を控えた、そこへ、２年前けんか別れした前夫デクスター（ケーリー・グラント）が現れる。今もトレイシーを思うデクスターは、連れてきた雑誌記者コナーを使い、結婚を妨害しようとするが … 彼は暴露雑誌のスキャンダル記事にトレイシーの父親が取り上げられるのを防ぐつもりだったのだ。さらに登場した暴露雑誌の記者、ジェームズ・スチュアートはトレイシーの挙式が近づくにつれて彼女に恋心を抱くようになるといった思いがけない具合に。テンポのいい会話がスパークリングワインのように流れていく。

　キャサリン・ヘップバーンが主役を務めてブロードウェイのシアター・ギルドで上演して大ヒットしたフィリップ・バリー作の喜劇を、名匠ジョージ・キューカー監督がキャサリン・ヘップバーンを主役として1940年に映画化。キャサリン・ヘップバーンが脚本の惚れ込み、「フィラデルフィア物語」の権利を買い、自分を主演させない限り映画化出来ないまでにしたことが幸い、素晴らしい脚本に名優３人の共演とあって洗練され、ウィットに富んだ傑作コメディーに仕上がっている。アカデミー賞６部門にノミネート、脚本賞と、ジェームズ・スチュワートが主演男優賞を受賞した。主演のキャサリン・ヘップバーンは本作で「ボックスオフィス・ポイズン（興行的に人気のない俳優）」から人もうらやむハリウッドスターへとキャリアの転換ともなった。