「クラシック音楽専科ガイド」
オリジナル稀少盤、アナログ・レコード優秀録音盤のアナログサウンド! 

1960年代、70年代、80年代までのクラシック音楽のアナログLPレコードの、欧米で発売された当時の『オリジナル盤』初版盤、レアなレコードぞろい。優秀録音と評価の高い録音をメインにコンディションの良いものを案内しています。


2015年02月17日

はかない足跡を追って ヘンデルの合奏協奏曲とカンタータ(2)〜古楽の楽しみ

2月16日 月曜日からの4日間は、 ヘンデル円熟期の名作、合奏協奏曲作品6を中心に、 カンタータを交えながらお送りします。

二日目は合奏協奏曲第5番、第6番とカンタータ《捨てられたアルミーダ》。
ヘンデル

合奏協奏曲第5番の演奏は古楽器とピリオド奏法復興の旗頭、アーノンクールの刺激的な演奏。古楽器を使いヘンデルやバッハの時代の演奏方法を再現して、モダン・オーケストラの演奏で付け足された余分な脂肪をシェイプしてヘンデルが楽譜に書いた通りで原典をかっちりやっているということで聴いてみた。どんなに雅で嫋やかな音楽が聞こえてくるだろうとおもいきや、その音が奇妙奇天烈で驚いた。

毎度、新しいアイデアで観客を期待させたベートーヴェンは知られるところだけど、ヘンデルは必死だったろう。観客は王侯貴族だけど、王様に仕えていた作曲家なのだからだ。その時、何人の作曲家を抱え上げていたのか知らないけれども、興味を持たれなくては作曲の機会がない。
水遊びの好きだった王様だったから、3つのグループ分けをしたオーケストラを船に乗せて、川上と川下から音楽が登場するなんて《水上の音楽》は語りぐさだ。

アーノンクールは、そこに着眼していたのだろうか。既にきちんとした優等生的な演奏のディスクを所持していて、二枚目に刺激的なディスクが欲しいという方ならば、もっとも推薦できる一枚だと思う。


「合奏協奏曲 ニ長調 作品6 第5 HWV323」ヘンデル作曲(16分15秒)
(合奏)ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(指揮)ニコラウス・アーノンクール
<TELDEC 8.35603>
クラシック BEST100 シリーズ。ヘンデル「水上の音楽」、「合奏協奏曲 イ短調 作品6の4」、「合奏協奏曲 イ短調 作品6の5」、全3曲を収録した 1978、82年録音盤。


「カンタータ“捨てられたアルミーダ” HWV105 」ヘンデル作曲(15分02秒)
(ソプラノ)エヴァ・メイ
(合奏)イル・ジャルディーノ・アルモニコ
(指揮)ジョヴァンニ・アントニーニ
<TELDEC 3984-24571-2>
ヘンデルの女性を主人公とする三つの世俗カンタータが収められている。三人のヒロインを一人で歌いきるエヴァ・メイの若々しい魅力のあふれる歌唱に惹かれる。アリアが美しい。イル・ジャルディーノ・アルモニコが刺激的な演奏を繰り広げている。
『捨てられたアルミーダ(儚い足跡を追って)』は、ジェミニアーニと共にロンドンで御前演奏もしたことのあるヘンデルが、若い頃、イタリア滞在時に書いたイタリア語カンタータ。リナルドに捨てられたアルミーダの怒りと悲しみ、諦めを歌い上げた美しい作品。

ソプラノ用のソロ・カンタータで、ヴァイオリン・オブリガート(助奏)が付きます。独奏ヴァイオリンによるプレリュードと、レチタティーヴォをはさんだ3曲のアリアで構成されています。最後のアリアはシチリアーノという様式で作られています。特有のリズムと物悲しい旋律がすごく美しいです。この作品の聴き所だと思います。のちに十字軍の騎士を主人公にしてオペラ「リナルド」( HWV7 )をヘンデルは作曲しますが、敵軍の王アルガンテの求愛されても愛するリナルドへの貞節を守るため「苛酷な運命に涙を流しましょう」と歌うアルミレーナのアリア「私を泣かせてください」(Lascia ch’io pianga) は有名なアリア。敵味方逆転していますが、視点を変えればどちらも女性の一途な気持ちを盛り込んだ美しいものです。

前日のカンタータ同様、形式はシンプルですが、この作品は物語性が強く内容を理解して聞くと面白いです。と言っても《魔法オペラ》の体裁でヘンデルは物議を過もさないよう注意してオブラートに包んでます。
この作品は、16世紀のイタリアの詩人タッソというひとの詩がテーマです。時代背景は12、13世紀、十字軍がイスラム軍とエルサレム争奪戦を演じている頃のものです。
アルミーダは魔女で、惚れた十字軍の騎士リナルドを魔法でとりこにしていましたが、逃げられてしまったので、怒りくるって復讐しようとします。しかし、リナルドを慕う気持ちも強く、愛憎のはざまで想い乱れる、というお話です。
このカンタータはバッハも楽譜を購入し、ラプツィヒで自身が指揮して演奏した、と伝えられています。


「合奏協奏曲 ト短調 作品6 第6 HWV324」 ヘンデル作曲(14分10秒)
(合奏)フライブルク・バロック・オーケストラ
(指揮)ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ
<HARMONIA MUNDI(独) 88697 937052>
名指揮者トーマス・ヘンゲルブロックにより創設された団体の、創設25周年を記念する全10枚組の CD3 がパーセルとヘンデルによる劇音楽とカンタータ集。※日本では 88697 9370524


.

https://fm-woodstock.com

通販サイトで毎日入荷、販売しています。

商品検索
同じカテゴリー(バロック)の記事画像
♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲
器楽合奏の楽しみ*協奏曲仕立てでフルートを際立たせた ミュンヒンガー シュトゥットガルト室内管 バッハ・管弦楽組曲
モダン楽器のよさを満喫◉ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管 バッハ・ブランデンブルク協奏曲 第3、5番
♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲
真の永遠のベストセラー◉名演にも勝るカール・リヒターの高潔な演奏と解釈 ミュンヘン・バッハ管 バッハ・マタイ受難曲
♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲
同じカテゴリー(バロック)の記事
 ♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲 (2025-05-22 06:00)
 器楽合奏の楽しみ*協奏曲仕立てでフルートを際立たせた ミュンヒンガー シュトゥットガルト室内管 バッハ・管弦楽組曲 (2025-05-22 02:11)
 モダン楽器のよさを満喫◉ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管 バッハ・ブランデンブルク協奏曲 第3、5番 (2025-05-21 12:45)
 ♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲 (2025-05-21 06:00)
 真の永遠のベストセラー◉名演にも勝るカール・リヒターの高潔な演奏と解釈 ミュンヘン・バッハ管 バッハ・マタイ受難曲 (2025-05-16 17:00)
 ♬現代が忘れ去りつつある何かがこの演奏に*リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管○バッハ・ブランデンブルク協奏曲全曲 (2025-05-15 11:05)

名盤,魅力,アナログレコード,通販,熊本地震
登録するとコメント可能になります。通常はコメント欄は表示していません。コメントを表示されたくない時はコメントに明示してください。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。