アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください

DECCAが挑戦した４チャンネルということで、ここぞとばかりの変態ぶりで恋人を攻めます。

聴き所はその濃厚な表現力。中低音を強調した独特のサウンド。あちこちかけまくるルバートやスラー。一度聴くと中毒になります。

当時流行したマルチマイクによるフェイズ4システムによる録音。録音の裏表を知り尽くしたストコフスキーならではの様々な効果を駆使した録音です。
曲の前半は、テンポ設定やアゴーギクも比較的オーソドックスで、第２楽章で旋律線の木管楽器を強調する場合に弦楽器の音量を極端に落とし、曲想が変化する時点で変化の鍵となる楽器をクローズアップするなど、各楽器のバランスに独特なものを見せます。
このまま通す、はずもなく。
後半はストコ節全快。ブラスが思う存分暴れるバーバリスティックな第４楽章はゴキゲンな出来、最後のファンファーレは通常の２倍テンポで暴走。
でも、ドタバタしているわけではなく第3楽章のイングリッシュホルンとオーボエの対話の遠近感や、クラリネットソロの pppp の緊張感、ぴったり揃ったヴァイオリンのトレモロなど、最後のファンファーレがメルトダウンしない運転になったのも相当練習を積んだことが伺えます。
誰もがド派手に演出したいと思う箇所は、想像以上の超弩級変態ぶりで、そして、敏感で繊細なところはサラリと済ませてしまう淡白な男が恥ずかしくなるほどに執拗に、慎重に嘗め尽くす。

大人の男の手練手管を尽くした攻めは諄いこと無く心地良く、逝かせ上手・・・違った、人工的で手練手管を尽くした演奏ですが聴いていて不快感はなく、聴かせ上手な演奏といえそうです。