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４手連弾や２台ピアノ編曲版名曲鑑賞のすすめ。

　第207回、きらクラDONは『三つのオレンジへの恋』から行進曲の冒頭ですね。オペラから６曲を選んで組曲を作っており、第３曲が行進曲で演奏会で取り上げられる機会が多い。以前出題されたストラヴィンスキーの「プルチネルラ」と同じく、木管楽器や弦楽アンサンブルにも編曲されている。
　ピアノ編曲版にはプロコフィエフ自身が行っていますが、こうしたことはブラームスの時代も当然のことでした。ふかわさんが気になっているとおっしゃってたことですが、ブラームスやチャイコフスキーは交響曲と一緒に、４手ピアノ用編曲を合わせて出版社に渡している。モーツァルト、ベートーヴェンの貴族社会からショパン、シューマン時代からブルジョワ社会になったからでしょう。熊本ではピアノ・デュオでのブラームスの交響曲全曲コンサートシリーズが行われています。
　ホルストの惑星も、２台ピアノ用編曲がありオーケストラ版とは違った魅力があります。こうした曲は、オーケストラの代用や練習用ではなく、作曲家がピアニストとしても優れた、経験を重ねていたことを感じます。ブラームスは地味なので、ホルストの木星をピアノ・デュオ演奏したものをリクエストします。連弾や２台ピアノの面白さを多くの皆さんの新しい楽しみになりますように。

三つのオレンジへの恋

　1921年12月、シカゴで初演されたプロコフィエフ （ Sergei Sergeevich Prokofiev / 1891〜1953 ） のオペラ『３つのオレンジへの恋』。このオペラはイタリアの劇作家カルロ・ゴッツィが書いた童話をもとにしたもので、魔女に呪いをかけられた王子が、３つのオレンジを求めて砂漠に行き、オレンジの一つからあらわれた王女と結婚する、というストーリー。ただし、こうした筋書きの合間にも道化やエキストラが登場しては舞台を引っかき回す、というプロコフィエフならではのひねりの効いた内容で、音楽も現代的な感覚に彩られています。全曲は、後に作曲者自身の手で６曲からなる管弦楽組曲に編曲されました。なかでも第３曲の「行進曲」は有名で、ピアノ独奏用にも編曲されています。