アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください

ブラームスのシンフォニーで、第一楽章の終わりで拍手が出たのは面白い。ローカルのコンサートでは良くあることだろう。
然し、誰もが抑えきれなかった。思わず起こった拍手は第二楽章、第三楽章ではベルリンの聴衆は通を通した。

この楽しい時間がずっと続くと良いのに

ベルリン・ヴァルトビューネに集った観衆、演奏家ともに同じ思いがしただろう。ブラームスの４つのシンフォニーを四季に例えることが出来る。人生の季節を重ねた見方もできる。
それに倣うと、交響曲第１番は青春のシンフォニーだ。小学生の時の夏休みはずっとずっと続く感じがした。青春まっただ中にいると、時間は永遠にあると思える。そして、今の楽しい居心地がずっと続くと良いのにと思う。


ベルリン・フィルの夏の野外コンサートは、ポピュラー・コンサートの親しみやすさでフレンチ・ナイト、ロシアン・ナイトなどのプログラムがずっと続いていましたが、2013年のサイモン・ラトル指揮ではメンデルスゾーンの『バイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 』（ソロはクリスティアン・テツラフ）とベートーヴェンの『交響曲 第９番 ニ短調 作品125 《合唱付き》』だった。
第三楽章アダージョでは静かなメロディーに合わせるように森の上空の小鳥がとても美しい声でさえずり、オーケストラとキレイなアンサンブルを聴かせてくれました。
今年はチャイコフスキーの規模の大きい序曲２曲に、ブラームスのファースト・シンフォニーとレギュラーコンサートでも聴けないプログラム。

ギュスターヴ・ドゥダメル指揮　ベルリン・フィルハーモニカー　ヴァルトビューネ・コンサート
曲目	作曲家
The Tempest, Symphonic fantasy, Op. 18	Pyotr Ilyitch Tchaikovsky
Romeo and Juliet, Overture	Pyotr Ilyitch Tchaikovsky
Symphony No. 1 in C minor, Op. 68	Johannes Brahms
Divertimento for orchestra	Leonard Bernstein
William Tell, Overture	Gioachino Rossini
Berliner Luft	Paul Linke
Berlin Waldbühne (Berlin, Germany), June 27, 2014

コンサートの録画はダウンロードできる。

時代の寵児と呼ばれているギュスターヴ・ドゥダメルのメンデルスゾーン　スコットランド交響曲のアナログ盤の評判が良い。

今はハツラツとした曲をもっと演奏して欲しい

スコットランド交響曲はメンデルスゾーンが旅行で訪れたスコットランドの島巡りで悲しい王女を邂逅した音楽として魅力がある。ブラームスの交響曲第一番の終楽章は、青春を立ち止まって振り返り意を決して現実の時間に戻っていくような老齢な指揮者の背中を見せる演奏が好まれる。

そこをドゥダメルは俯きを見せなかった「粘らない」演奏だった。現代風といえば良いだろうか。でも終楽章最後の盛り上がりは凄く、若造らしからぬ「さすが」のコーダでダンサブルなのりがありました。それはオーケストラも楽しんでいるようで、女性演奏者には表情に上気が伺えた。
フランスでの同曲の演奏会では終了直後、正面のフルートとオーボエの女性奏者両方が楽器を置いて両手で拍手していたのがとても印象的です。
そして、ブラボー万雷の喝采はアンコールのバーンスタインのワルツもうわ言のようで、ロッシーニの競馬のフレーズでは手拍子が起こってしまった。ドゥダメルは手拍子に背を向けて片手で制止させた。

ブラームスの交響曲第一番でベルリン・フィルといえば、フルトヴェングラー、カラヤンの録音を推すが、クラシック音楽の演奏では、こうした過去の演奏を比較されることが常ですが愚かだなぁと痛感した。比較論では当然、戦わせて良いだろうけど時代背景や諸事情、演奏時のトラブルや録音技術を理由に評価を考えることは愚かだなぁ、と。
ブラームスの楽譜から再現している芸術だけれども、この夏の演奏はヴァルトビューネに集ったみんなの今の気持ちが表現されている。